BMW530e試乗記と5シリーズにツーリング登場

マニアック評価vol531
2017年1月に5世代目となる5シリーズが発表されたが、7月にステーションワゴンとなる「ツーリング」モデルが追加され、合わせてプラグインハイブリッドモデルにも試乗できたので、合わせてお伝えしよう。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

BMW 540iツーリング フロントイメージ
新型5シリーズにツーリングモデルが追加

まず5シリーズツーリングは、セダン同様BMWらしいスポーティかつダイナミックなエクステリアデザインで、ツーリングでありながらスタイリッシュなデザインだと感じる。セダンのデビューでも感じたことだが、ここまでコンサバなデザインを続けるあたり、ある意味完成した領域なのかもしれない。

BMW 540iツーリング リアイメージ
写真は4WDのツーリングモデルxDrive540i

もちろん、インテリアもセダンと共通で高級車に相応しいプレミアム感満載のデザインだ。クロームパーツをステアリング回りやエアコン操作パネなどに配置し、存在感と高級感を感じさせてくれる。

ボディサイズは先代のツーリングよりわずかに大きくなり、全長で+35mmの4950mm、全高+10mmの1500mm、全幅+10mmの1870mm、ホイールベースも+5mmアップの2975mmというサイズになった。しかしながら、ボディ重量は60kgの軽量化も成功しており、大人一人分軽くなっている。

BMW 5シリーズツーリング カーゴスペース
リアシートを倒さなくても、この広さ

トランク容量はシートを通常位置の場合で570L、シートをたたんだ状態で最大1700Lにまで拡大する。リヤシートはもちろん40:20:40の分割式で長尺ものにも対応できる。また、リヤシートを畳む際、リヤゲート後端に電動のスイッチが装備されているので、使い勝手がいい。またバンパー下に足を蹴りこむ動作で開閉する機能は、よりセンサーの精度が高くなり、利便性は上がっている。BMWだけの特徴だろうが、リヤゲートのウインドウだけでも開閉できるユーティリティは見逃せない。

BMW 5シリーズツーリング ハッチゲート ガラス部開閉
ガラス部分だけ開けられるのも便利な機能

先端のテクノロジーでは部分自動運転機能の精度があがっているのが注目だ。ACC(アクティブクルーズ・コントロール)機能では、ブレーキのかかるタイミングや発進、減速、停止という基本的な動きにおいて、運転の上手な人が操作しているような安心感のある動作ができるようになっているのだ。

また、オプション装備だが、ドライバーがクルマから降りても自動で駐車するリモートパーキング機能も搭載された。狭い場所での駐車などで有効な機能だが、7シリーズに搭載している機能をこの5シリーズにも搭載してきた。

モデルラインアップは523iツーリングは650万円から。4気筒2.0Lガソリンターボ搭載だ。523dツーリングは2.0Lディーゼルターボを搭載。140kw(190ps)/400Nmで19.4km/Lの省燃費。価格は746万円。そして530iツーリングも2.0Lのガソリンターボだが出力は523iツーリングよりアップされ、185kw(252ps)/350Nm。14.5km/Lのモード燃費、812万円の設定だ。

そしてトップグレードに540ixDriveツーリングを設定。6気筒ガソリンターボの3.0Lで、250kw(350ps)/450Nm、11.9km/L、1052万円の4WDモデルということになる。いずれもZF製の8速ATを搭載する。また、これらのモデルからデイタイムランニングライトが標準装備された。

■530e試乗

BMW 530e フロントイメージ
プラグインハイブリッドの530eに試乗した

セダンの530eの試乗車をチョイス。BMWのプラグインハイブリッドモデルだ。搭載エンジンは、2.0Lの4気筒ガソリン・エンジンに電気モーターが組み合わされたモデルで、システム合計の出力は185kw(252ps)/420Nm。搭載バッテリー容量は9.2kwhで、330eより容量アップされている。したがってEV走行の航続距離も330eの40km程度から52.5kmまで可能となった。ちなみに、トランスミッションは他のモデルと同様にZF製8速ATを搭載する。

BMW 530e セレクター モード切り替えスイッチ eDRIVE
シフトレバー横のスイッチでモード切替

走行モードは3つのモードから選択でき、AUTO eDRIVEは最も効率の良い状態を自動選択し、走行するモードでEV走行、ガソリン走行が自動で切り替わっている。この状態でのEV走行時の最高速度は90km/h。

MAX eDRIVEモードは文字通り、可能な限りEV走行するモードで最高速も140km/hまでEV走行する。そしてBATTERY CONTROLモードはガソリン走行をメインに電力消費を抑える。従って通常はAUTO eDRIVEモードを選択する。

BMW 530e 2.0L4気筒ガソリンエンジン
ガソリンエンジンは2.0Lの4気筒を搭載。これに電気モーターが加わる

さすがに高級車の5シリーズだけあって、EV走行時とエンジン走行時が切り替わっても、車内の静粛性に大きな差がない。ハイブリッド、プラグインハイブリッド車の多くは、EV走行時は静かでもエンジンで走り出すと、途端に「普通のクルマ」と感じるものだが、エンジン走行時でも、その静粛性はキープされている。そしてエンジンが始動しても、どこか遠くのほうで静かに稼働しているという印象だ。

BMW 530e サイドイメージ
若干だが、ボディサイズは先代より大きくなった

一方、減速時にはBMWらしい特徴があった。というのは、iシリーズで体験している減速Gの強さだ。i3はフットブレーキを踏まなくとも停車できるほど減速Gが立ち上がるが、530eではそこまで強い減速はしないものの、他社のPHEVなどと比較すると、強めの減速をする。

ガソリン車に乗りなれたユーザーが、このPHEVに乗り換えると、アクセルペダルを戻すタイミングに少し戸惑うかもしれない。予測より手前で減速してしまうため、アクセルの踏みなおしをして再加速をするなんていうシーンがあるかもしれない。もっとも、すぐに慣れてしまうものなのだが。

BMW 530e リアイメージ
正統派セダンの佇まいを感じさせるリヤビュー

また、フットブレーキではバッテリー残量の影響を受け、回生力の差を稀に感じるシーンがあった。踏力は一定の力で踏んでいるにもかかわらず、減速Gに変化があり、油圧式ブレーキとの差を感じる。また、停止寸前でも回生ブレーキから油圧ブレーキに切り替わるタイミングでも減速感が変化する。

このAUTO eDRIVEモードでもアクセルペダルを床まで踏み込み、カチッというスイッチが入る場所まで踏み込むとエンジンは稼働し、加速をするが、そこまで踏み込まない限り、EV走行も積極的に選択しているので、通常使いとしてメリットを感じるモードだ。

唯一、残念なのは駆動用バッテリーを後席周辺に搭載しているため、トランクスペースが犠牲になっている点だ。ガソリン車のセダンと比較して、この530eセダンとの差は歴然で、致し方のない犠牲ということか。

■価格

BMW 5シリーズ ツーリング 価格表

BMW 5シリーズ セダン 価格表

COTY
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