BMWジャパンは2023年7月13日、プレミアムEセグメントのエグゼクティブ・セダン「5シリーズ」の8代目となるニューモデル「G60(2024年モデル)」型の発売を開始した。デリバリーは、523i、i5は今冬以降、523d xDriveは2024年第1四半期以降が予定されている。
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【試乗記】BMW M社のEV5シリーズ 弩級の走りとE/Eアーキテクチャーの進化
約7年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型5シリーズは、BMW伝統のデザインを踏襲し、格式のある存在感とエレガントさをより高めている。また、走行性能面では、約半世紀の歴史の中で初めて、電気のみで走行するi5の標準モデルとMパフォーマンス・モデルの2モデルを同時にラインアップしている。
さらに、新型BMW 5シリーズで初となる48Vマイルドハイブリッド・システムを、ガソリンとディーゼルエンジンに搭載した。
また先進のデジテル技術で、高い安心、安全、快適な機能を提供し、そのプレミアムEクラスのセダンをリードする役割を担っている。
■ サイズアップしたボディ
新型5シリーズは、BMWのクラスターアーキテクチャー(CLAR)プラットフォームを採用。アンダーボディはほぼ完全にフラット化され、その結果、空気抵抗係数は0.23ときわめて低くなっている。
ボディサイズは、全長5060mm、全幅1900mm、全高1515mm、ホイールベース2995mmで、先代に比べ全長が97mm、全幅が33mm、全高が36mm拡大し、ホイールベースは20mm延長されている。
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全モデルがダブルウィッシュボーン式フロントサスペンション、エアスプリングのマルチリンク式リヤサスペンションを採用。トルクベクタリングシステムも装備されている。
4輪操舵システムのインテグレーテッド・アクティブ・ステアリングと電子制御ダンパーを備えたアダプティブ・サスペンションがi5に標準装備、523iおよびBMW 523d xDriveにオプション設定されている。
Mパフォーマンス・モデルi5 M60 xDriveには、さらにアクティブ・ロールコントロール機能を備えた電子制御スタビライザーを含むアダプティブMサスペンション・プロフェッショナルを標準装備し、ダイナミックな走行性能と快適な乗り心地とを極めて高い次元で両立させている。
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■ 斬新かつエレガントなデザイン
デザインは、最新のデザイン言語を採用し、スポーティさに加えエレガンスとセダンらしい格式のある存在感を強調している。フロントデザインは、より現代的なツイン・ヘッドライトとBMW伝統のキドニーグリルを垂直方向に拡大し、やや前方に突き出たシャークノーズ&ロング・ボンネットが特徴的となっている。
ほぼ垂直に配置されたLEDはデイライトライニングおよびウィンカーとして機能する。キドニーグリルには、夜間走行時にBMWブランドの象徴である造形を印象的にライトアップするBMWアイコニック・グローを備えている。
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ボディサイドは、高いショルダー・ライン、金属を削り出したような塊感のある力強くデザインされたドアパネルとフェンダーの造形、正確にトレースされた2本のキャラクターラインが特長だ。
ブラックのサイド・スカートがサイド・ビューをスポーティに引き締め、ドア表面に溶け込ませたドアハンドル、Cピラー下部にあるエンボス加工された数字の5が特徴的なホフマイスター・キンクを形成するガーニッシュへと、ダイナミックに伸びている。
リヤは、クローム・ストリップで分割されたフラットなリヤライトが、特徴的なL字型を形成し、リバースライトをバンパー内に配置することで、斬新かつエレガントなデザインになっている。
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インテリアは、広々としたスペース、各所に取り入れられたモダンな機能、高次元のオーディオ性能、高品質で精密に加工された素材、素晴らしい完成度、高度なデジタル・サービスがインテリアのラグジュアリーさを表している。
インスツルメントパネル周りでは、先代モデルに比べてボタン類が大幅に削減され、洗練された印象を与える。BMWカーブド・ディスプレイは、最新の12.3インチのインフォメーション・ディスプレイと14.9インチのコントロール・ディスプレイで構成されている。インストルメントパネル中央からドア・トリムを立体的なクリスタル面が貫くBMWインタラクション・バーを標準装備し、ドライバーの好みの走行モードに応じて室内空間を演出する。
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ステアリングホイールも新設計され、下部セクションが平らなDシェイプとなり、ステアリング周りに空間を与え、コントロールパネルとセンターコンソールのセレクター・レバーには、操作時にフィードバックが得られるようになっている。
シート、ダッシュボード、ドアパネルの表面に加え、ステアリングホイールは地球環境に配慮し、植物を主原料とした持続可能な素材とし、上質なレザーと同等の柔らかさと風合い、耐久性を実現したビーガン・インテリア仕様を一部モデルに標準装備している。
■ BEVもラインアップしたパワートレイン
・i5 M60 xDrive:最高出力261psを発揮する電気モーターをフロントに、最高出力340psを発揮する電気モーターをリヤアクスルに配置する4輪駆動モデルのMパフォーマンス・モデルだ。
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システム・トータルでの最高出力は601ps(442kW)、最大トルクは820Nmで、Mスポーツ・ブーストまたはMローンチ・コントロール機能が作動している場合、0-100km/h加速は3.8秒。
ボディ床下に収納されているリチウムイオン電池の総エネルギー量は81.2kWhであり、一充電での走行可能距離は455km〜516kmとなっている。
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・i5 eDrive40:最高出力340ps(250kW)を発揮する電気モーターで後輪を駆動するモデルだ。最大トルクは430Nmで、スポーツ・ブーストまたはローンチ・コントロール機能が作動している場合、0-100km/h加速は6.0秒。
ボディ床下に収納されているリチウムイオン電池の総エネルギー量は81.2kWhであり、一充電での走行可能距離は477km〜582kmである。
・523i:BMWグループのEfficientDynamicsエンジンの新世代モジュール式高効率の2.0L・直列4気筒BMWツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンを搭載。
従来モデルに対し、より高精度なターボ・システム&バルブ制御に加え、ツイン・インジェクションを搭載したミラーサイクル・エンジンへと進化させることで、より低燃費でダイナミックな走りを実現すると同時に、48Vマイルドハイブリッド・システムが組み合わされ、システム・トータル最高出力190ps(140kW)、最大トルク310Nmを発生する。
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・523d xDrive:新世代モジュール式の高効率な2.0L・直列4気筒BMWツインパワー・ターボ・ディーゼルエンジンを搭載。
ピストンの軽量化などの改善に加え、低速側を可変ウィングとしたシーケンシャル・ツインターボの電子制御精度を向上させた上で、48Vマイルドハイブリッド・システムが組み合わされ、システム・トータル最高出力197ps(145kW)、最大トルク400Nmを発生する。
■ 対戦ゲームや完全自動駐車など最先端装備を搭載
先進運転支援システムとしてハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能、安全機能・運転支援システム「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」、完全自動駐車が可能となる「パーキング・アシスト・プロフェショナル」を標準装備している。
自宅駐車場、勤務先駐車場を車両に登録しておくことで、駐車スペースが近づくと、車両が自動で検知し、検知後は、完全自動駐車が可能だ。
また、駐車スペースが狭い場合はドライバーが下車し、車外よりスマートフォンでコントロールすることができる「リモート・パーキング」機能で駐車操作を行うこともできる。
そして、車載カメラを使用した全方向(前後&左右)記録可能なBMWドライブレコーダーを標準装備している。
後付けのドライブ・レコーダーと異なり、車両後方の映像もウインドウ越しではなく、直接撮影するので、あおり運転等の危険運転車両と遭遇した際に、車両のナンバーも鮮明に記録でき、またサイドのカメラで幅寄せの映像記録にも対応する。さらに前方カメラを使ってドライビング中に前方の美しい景色を記録することも可能なのだ。
その他に、車両の盗難や車上荒らし等の被害を事前に防止するアラーム・システムを標準装備した。
車両がロック中に異常を検知した場合、登録されているスマートフォンに通知を行うと同時に、車両周辺および車両室内の映像もスマートフォン上で確認することができるようになっている。
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インフォテイメントは進化したBMWカーブド・ディスプレイと「QuickSelect」機能を備えた制御システムを新採用。
BMWオペレーティング・システム8.5をベースにしており、運転席側に機能アイコンを縦に並べた再設計されたホーム画面を備えている。
「QuickSelect」機能により、サブメニューに切り替えることなく機能に直接アクセスできるため、メニュー構造が大幅に改良され、操作しやすくなっている。新しいBMW iDriveは、BMWカーブド・ディスプレイおよびBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントとも組み合わされ、一貫して、タッチ・ディスプレイと言語で操作できるように設計されている。
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また新型5シリーズで初めて導入されるAirConsoleプラットフォームを用いた革新的な車内ゲームが楽しめる。ドライバーと同乗者は、車両が停止している際、スマートフォンをコントローラーとして、14.9インチのセンター・ディスプレイを使用しての対戦型ゲームをプレイすることが可能なのだ。
プレイは、パーソナルeSIMまたはBMW Bluetooth SIMカードリーダーを使用した5Gデータ通信でのみ利用が可能で、パーソナルeSIMでの接続にはNTTドコモの「ワンナンバーサービス」対象の料金プランへの契約が必要になる。またBMW Bluetooth SIMカードリーダーを使用する場合は、別途データ通信用SIMカードの契約が必要になる。
コネクティビティでは「OK, BMW」とインテリジェント・パーソナル・アシスタントに話しかけることで、車両の操作、目的地の設定が可能。
Apple CarPlayやSpotifyへの対応、BMWコネクテッド・ドライブ標準装備により、スマートフォンで事前に検索した目的地を車両に送信するなど、高い利便性を備えている。
また、BMWデジタル・キープラスの標準装備により、車両のキーを持たなくても、対応のスマートフォン、またはスマートウォッチを携行していれば、車両に近づくだけでロック解除が可能であり、さらに車室内にロック解除に使用したデバイスがあるだけで、エンジンの始動もできる。
もちろん車載通信モジュールを搭載し、ドライバー、クルマ、そして取り巻く情報をITネットワークで繋ぐことで、「もしもの時に備える万全の安全性」、「カーライフを進化させる革新の利便性」、「充実の情報と最新のエンターテインメント」を提供する総合テレマティクス・サービスを使用することができる。
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