【BMW・パリショー】FF駆動ベースの「コンセプト・アクティブ・ツアラー」を出展 BMWのコンパクトカー戦略が明らかに

Concept Active Tourer はFF駆動をベースのプラグインハイブリッド。後輪をモーター駆動する

2012年9月14日、BMWはミュヘンの本社でパリ・モーターショーに、躍動感あふれるスタイル、高い快適性と機能性を備えた初のプレミアム・コンパク・カー、「BMW Concept Active Tourer (コンセプト・アクティブ・ツアラー)」をパリオートショーに出展すると発表した。

BMWによれば、プレミアム・クラスのスモールカー、コンパクトカーは今後10年間の間に年率最大5%の成長が見込まれるという。このマーケットで存在感を高めるためにBMW Concept Active Tourerを投入したが、このクルマはBMWブランドの展開の中で新たなマイルストーンとなるモデルと位置付けている。

Concept Active Tourerは、将来のコンパクトカー用ドライブ・システムを見据え、プラグインハイブリッド・システムを搭載している。BMWのメインブランドに、eDriveコンセプトを初めて導入することになる。

このeDriveコンセプトは、BMWi8に採用され、将来的にはすべての電気自動車とプラグインハイブリッド車に採用されることが決定している。この電気駆動コンポーネンツのすべて、つまり電気モーター、リチウムイオンバッテリー、インテリジェント・モーター・マネジメントシステムをBMWが自社開発しているという。

Concept Active Tourerは、コンパクトなボディサイズ、魅力的なスポーティ・デザイン、BMWならではの品質を備えている。ボディサイズは全長4353mm×全幅1834mm×全高1560mmで、室内のスペースを確保するために、BMWとしては異例の高いアップライトなシートポジションとしているのが特徴だ。

コンセプト的には、ライフスタイルやスポーティさを大切にしながらも、同時に機能や多様性(柔軟性)も重視するファミリーユースにぴったりなクルマとしている。

Cセグメントで2670mmというロングホイールベース、高いルーフ、エンジンをフロントに横置きした前輪駆動によるコンパクト設計を採用。このプラットフォームは、現行の3シリーズ(F30)、1シリーズ(F20)、次期型MINIに共通しているフレキシブル・プラットフォームを採用していると考えられる。

ハイブリッド・システムで大きなスペースを要するバッテリーは、床下に搭載しているためConcept Active Tourer のラゲッジスペースは日常の使用に十分な容量が確保されている。

ビッグキャビンとウエッジシェイプを融合させたデザイン

Concept Active Tourerのプロポーションは、スポーティでエレガントさを強調。コンパクトなサイズ、機能性、マルチユースというクルマのキャラクターに、ダイナミックなデザインを盛り込むことができる証明だという。

エクステリアのカラーはエクスクルーシブなハイリフレクション・シルバーだ。フロント、サイド、リヤに配されたアルミニウム製パーツもアクセントとなっている。これらのアクセント部品は表面がハイグロス仕上げで、下側はブラッシュドマット仕上げ。光沢面とマットの鮮やかなコントラストが光と影の効果を生み出している。

サイドビューでは、ウェッジフォルムのシルエットが、ダイナミックなキャラクター象徴している。ショルダーラインに統合されたドアハンドル、明確な輪郭で競り上がるサイドシルのシルエット、20インチ大径ホイールなどでスポーティかつエレガントなエクステリアが表現されている。ボディ前後のショートオーバーハング、ロング・ホイールベース、高い全高により、コンパクトなボディ寸法にも関わらずキャビンは想像以上に広い。

FF駆動方式のためセンターコンソールが従来よりスリムになっている

インテリアは透明感、新鮮な心地よさを演出。多孔質の合板ブロックから削り出されたインストルメントパネルの装飾面は、流線状に加工されている。ドアトリム・パネルとシートは明るい色のビロード風のスムーズレザーで仕上げられ、シルクのような光沢を見せる。また、斬新な空間を演出しており、左右のフロントシートの間にセンター・コンソールが浮き上がっているようにも見る。

コクピットはBMWの特徴である、ドライバーオリエンテッド・デザインで、すべての操作エレメントへ容易に手が届くようにしている。丸型メーター、インフォメーションディスプレイは、すべてドライバーの視界内に置かれる。

大きな特徴のひとつがステアリングホイールとフロントウィンドウの間の可動式ディスプレイだ。このガラス板にフルカラーのヘッドアップ・ディスプレイが表示される。

ナビゲーションシステムは、8インチの大型ディスプレイを採用。中央のインフォメーション・ディスプレイにはハイブリッドシステムの現在の稼働状況も表示される。ルーフは全面が革新的なパノラマ・サンルーフで、採用している合わせガラス製ルーフは、サスペンデッド・パーティクル・デバイス(Suspended Particle Device、SPD)を採用し、スイッチを押すだけでサングラスのように光を遮ったり、透明なガラスになったりする。これはガラス内部に挟み込まれたシート状のフィルムに電荷することで、無段階にガラスの可変透明性を実現しているのだ。

濃度が連続可変式のパノラマ・ガラスルーフ

フロントのシートポジションは、セミコマンド・ポジションで高めの位置に設定されている。そして、リヤシート足元に十分な余裕がある。後席のバックレストは40:20:40の3分割可倒式。後席乗員のためのインテリジェントな機能として「トラベル & コンフォート・システム」が設定されている。

フロントシートの裏側には縦の金属製レールが組み込まれており、折り畳みテーブルをクイック・カップリングで取り付けたり、必要に応じてポーチ、タブレット端末を自由に取り付けて使用できる。タブレット端末は縦位置でも横位置でも目の高さに合わせてクリップ・レールに固定でき、インターネット、ゲーム、映画などを楽しむことができる。

Concept Active Tourerのドライブトレーンは、BMWのハイブリッドカー、BMW i の電気自動車のドライブトレーンと共通の名称「BMW eDrive」と名付けられている。

このプラグインハイブリッド・システムは、電気駆動と従来の内燃機関のメリットとの理想的な組合わせを目指している。プラグイン式ハイブリッドは電気のみで30kmを超える航続距離を発揮し、短距離でも長距離でもエンジンとモーターの混合駆動においても、常に効率的な走行が可能だ。

このConcept Active Tourerは、BMWグループの最新世代に属する3気筒・1.5Lガソリン・ターボエンジンを横置きに搭載し、前輪を駆動する。この1.5Lの3気筒ツインパワー・ターボ・エンジンは、最新世代の高精度ダイレクトインジェクション、バルブトロニック、最新のターボ過給技術、振動を抑制するバランサーシャフトを採用している。

一方、モーターはリヤに配置され、後輪を駆動し、従って4WDとして機能する。システム総合出力は140kW(190ps)を上回り、優れた動力走行性能と低燃費、低排出ガスを同時に達成している。

0-100km/h加速は8秒以下で、最高速度は約200km/hに達するという。このような高性能にも関わらず、平均燃費は2.5L/100km以下で、CO2排出量は60g/km以下を記録しているという。

BMWが開発した駆動用モーターのみを使用すると、バッテリーが満充電の場合、EV走行の航続距離は30km以上となる。したがって日常的な使用では大部分を完全なゼロ・エミッションで走行できる。さらにこのモーターを急加速時などにブースト機能として使用することもできるのだ。また、モーターのトルクは200Nm以上だという。

リチウムイオン・バッテリーは家庭用の220V電源で充電できる。もちろん走行中の減速エネルギー回生、必要に応じてエンジン直結の高電圧オルタネーターによる充電も行われる。バッテリーマネージメントは、予測運転制御、ナビデータ取得制御などによりEV走行距離を最大限に引き出すことができるようになっている。

Concept Active Tourerは、現行のBMWモデルと同様に、ECO PROモードを備える。ECO PROモードでは、状況に応じて室内のエアコンや他の快適性関連の機能の電力消費を抑制する。

さらにまた、ECO PROモードはドライバーに燃費向上のヒントを与える。このため、システムはナビシステムともリンクし、道路データと個人の運転スタイルをベースに、目的地までの燃料消費量を最小にする方法を提示する。この予測的なアシスタント機能により、例えば、急カーブや速度制限区間に接近すると、ドライバーが目視で確認する前に「アクセルペダルを戻してください」というメッセージが表示され、ATも自動変速するなど一歩進んだ機能を備えているのだ。

またECO PROモードは、50km/h〜160km/hの速度範囲で2段階のクルージング(無動力)モードが有効になる。125km/h以下で惰性走行時になるとエンジンは完全に停止。また160km/hまでの速度域では、エンジンとドライブトレーンとの結合が切り離され、完全な無動力走行となり、巡航燃費を大幅に向上させることができるのだ。

BMWジャパン公式サイト

COTY
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