【BMW】新型320i試乗記 3シリーズの大本命に走りの楽しさはあるか?

マニアック評価vol127
2012年1月にフルモデルチェンジした3シリーズの328iが先行して投入されたが、4月に本命である320iセダンが追加された。

 

6代目となる新型3シリーズは、プラットフォームも一新されE型からF30型とコードネームも変更されている。それに伴いホイールベースで+50mm、トレッド幅もモデルによって異なるが、おおむね前/後とも+30mm?+40mm程度広くなっている。ボディサイズは全長で+80mmの4625mm×全幅1800mm(+-0)×全高1455mmとなっている。

BMW320i試乗記の画像BMW320i試乗記の画像

先行発売された328iとの違いは主にエンジンで、その型式もN20B20A型と320iがN20B20B型となっている。N20Bは2.0Lのガソリン車を意味し、スペック違いのAとBと区別されている。そのスペックでは328iが245ps/5000rpm、350Nm/1250rpm-4800rpmに対し、320iが184ps/5000rpm、270Nm/1250rpm-4500rpmとなっている。これは圧縮比がN20B20Aで10、N20B20Bが11という違いがあり過給圧の違いで出力差があることがわかる。

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しかし、搭載される先端テクノロジーは同様装備で、無段階の可変バルブリフトであるバルブトロニック、吸排気可変バルブタイミングのダブルVANOS、高精度ダイレクト・インジェクションシステムにツインスクロールのタービンが1基搭載されている。組み合わされるミッションはZF製8速ATであり、320iには6速MTというモデルも加わっている。

試乗したモデルはこの6速MTのスポーツというグレードだ。320iにはモデルラインアップとしてスポーツ、モダン、ラグジュアリーという3つのデザインラインがあるが、装備を簡素化し、ピュアに走りを楽しむモデルとして320iSEと320iの2モデルもある。そのもっとも簡素化されたSEが399万円と400万円を切る戦略的な価格設定がされている。

BMW320i試乗記の画像BMW320i試乗記の画像

さて、試乗したスポーツは、6MT仕様の459万円(8ATは470万円)は、サイドサポートが調整できるシートが運転席、助手席にも標準装備され、他モデルではオプションとなるあたりでも走りにポイントを置いたモデルであると感じる。

エンジンをかけてみると、ガラガラと意外と大きい音がする。しかし、エンジンが十分暖気するころにはこのエンジン音も滑らかな音へと変化する。このあたりでもレーシングエンジンのように、シリンダー内のクリアランスが大きく、熱膨張を計算したエンジンであることを伺わせる。しかも、冷間時のガラガラ音が室内ではほとんど聞こえない遮音性は素晴らしい。

1速に入れ、ゆっくりクラッチをつなぐ。クラッチは軽く、操作は苦労しない。ペダル配置もいい。アクセルペダルはオルガンタイプで、ほどよい重さと感じるレベルだ。走り出しからトルクを感じ、力強く加速する。1250rpmという低回転から最大トルクを発生しているのを感じる瞬間だ。シフトレバーのストロークは短くも長くもない、という印象で、これまたほどよいという表現になる。シフトフィールはしかっりギヤポジションが分かるように手ごたえがあり、安心感がある。

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エンジン回転は6500rpmからがイエローゾーン、7000pmからがレッドゾーン表示となっているが、やはり5000rpmでシフトアップしていくエンジンなのだろう。6000rpmあたりではもちろん加速はしているが、早めのシフトアップのほうが常にトルク感があり、世代が変わったエンジンという印象を受けた。だがしかし、エンジンの滑らかさはちゃんとあり、シルキーなフィーリングもある。4気筒だからといってガラガラとしたフィールは全くない。

184ps(135kW)という出力は十分なパワーと感じ、国内で乗るにはこれがいいと感じる。もちろん、よりパワーのある328iに乗れば余裕があるので少しフィーリングは変わるが、少なくとも力不足を感じる場面はなく、ワイディング、高速とも満足できるだけのパワーとバランスを持ったモデルだと言える。

マニュアルでもアイドリングストップが装備されていた。一部、交差点などで2速に入れたまま、クラッチを切るとエンジンが停止してしまうというモデルもあるが、BMWの場合、車速がゼロにならなければエンジンが停止しないため、このような不具合の心配はない。ただ、再始動時のブルンというボディの振動が大きい。

これはどう理解すべきだろうか?振動はないほうがいいのだろうか?特に国産車だと再始動を感じさせないほど滑らかに始動するアイドルストップを持つクルマもあるが、これも作動音と理解すると、意図的にある程度の振動を残しているとも考えられる。ウインカーの音でもドイツ車はおしなべて大きい。これはドライバーにキチンと認識させる意味があるからだという。その理屈からすれば、再始動をドライバーに認識させる意味がある、という理解もできるかもしれない。

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iDriveだがMT車にも当然装備され、エコプロモード、コンフォート、スポーツの3つの制御が選べる。コンフォート、スポーツに関しては、何も言うことがないほど綺麗に制御されており、ドライバーの気分で使い分ければいいだろう。一方のエコプロモードだが、ATの場合大きく制御変化があるが、MTの場合、踏んでしまえばしっかり加速するので、ATほどの違いはないとも感じる。レスポンス自体は悪くはならないので、それでも燃費がよくなるのであれば、意外と使える制御と言えるかもしれない。

新型3シリーズの320i、328iともに共通するイメージとして、これまでの3シリーズよりワンランク上質さが増したという印象で、静粛さや滑らかさにおいては5シリーズとの差を感じない。まさにボディサイズの差としか言いようないレベルだと思う。その中でもMT仕様が国内導入され、快適な移動より操る快感を求めるユーザーにも応えるモデルとして、BMWも本質が変わっていないという安心感がある試乗であった。



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BMW 3シリーズ 公式サイト

COTY
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