BMW製FFの味付け
試乗したのは最量販モデルの118i Playだった。ベース価格は375万円だが、オプションを装備しているので460万円となっている。
118iは3気筒の1.5Lエンジンを搭載しているため、フロント部分が軽量。エンジン出力は140ps/220Nmで、Cセグメントの中では標準的なレベル。トランスミッションは7速DCTを採用している。
DCTのためトルコン式ATに比べて、発進加速ではトルク感に欠けるが、エンジン自体は低速重視のフラット・トルク型で扱いやすく、DCTの変速も滑らかだ。走行中はトルコン式のATと勘違いするほど滑らかだ。
エンジンの特性は実用域を重視した低中速トルク型のため、回転を上げてもパワー感は薄い。0-100km/h加速も8.5秒と公表されており、実用性能としては十分といえる。
タイヤは205/55R16サイズのブリヂストン・トゥランザのランフラットタイヤ装着しているが、タイヤサイズが過大ではないこともあって、舗装の荒れた路面でも乗り心地も良好だ。もちろん、ブレーキを掛けても、アクセルを踏み込んでもボディのピッチングがよく抑えられ、フラットな乗り心地で、ドライバーだけでなく同乗者も快適だろう。
ダイナミック性能の味
一方でステアリングの操舵力は最近のクルマの中では重めだ。そしてステアリングに伝わって来る路面のインフォメーションも結構ダイレクト感があり男性的な印象だ。さらに走行中のボディ全体の剛性感の高さもこのクラスの中では異例といえるフィーリングだ。
コーナリングもBMWのFFらしい味付けになっている。リヤのグリッグ感が極めて高い上に、コーナリング性能をニュートラル方向に味付けしているのだ。メカ的にはDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)とは別に、タイヤスリップ・コントロール(ARB)機能を備えており、DSCの作動よりもっと早い段階で前輪タイヤのスリップ傾向を捉えてエンジンECUで瞬間的なトルクダウン制御を行ない、アンダーステアを抑え込むようになっている。
さらにコーナリングをアシストするためのブレーキ・トルクベクタリングも併用し、アンダーステアを抑え込むというよりアンダーステアの兆候が見える前にシャシー制御によってドライバーの意図通りの走りを作り出している技を感じることができる。
新型1シリーズは、ボディ・サイズ、パッケージングなどCセグメントのハッチバックとして見ると十分な競争力を持っており、エントリーモデルではあっても独自の走りの味付けを備えている点が大きな特長だ。
さらにBMWコネクトやオプションの対話型AI「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタンス」などを装備できる点がプレミアムCセグメントたるアピールポイントになっている。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>
【価格】
- BMW 118i:334万円
- BMW 118i Play:375万円
- BMW 118i M Sport:413万円
- BMW M135i xDrive:630万円