この記事は2019年3月に有料配信したものを無料公開したものです。
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2019年はアウディのV型10気筒エンジン誕生から10周年となる。そのため、アウディはV10エンジンの10周年を記念した特別限定モデル「R8V10ディセニアム」を発表した。世界で222台の限定生産という希少なモデルで、おそらく日本にも数台は割り当てられるだろう。
V10エンジンの歴史的な背景
アウディのV型10気筒エンジンの歴史を振り返ってみよう。自然吸気5.2L・V10エンジンは、2009年初頭にR8に搭載されてデビューした。ミッドシップ・スポーツカーのR8は2006年にデビューしているが、この時点では4.2L・V8 FSI直噴エンジンを搭載していた。そしてこのV8は、A8用とは違ってドライサンプ化された専用チューニングが行なわれている。
そして2009年春にR8に5.2L・FSIエンジンを搭載した「R8 5.2 FSIクワトロ」が発売された。このモデルは最高出力525ps/8000rpmを発生する自然吸気の高回転型エンジンだ。常識的なスーパーカーはV型12気筒を搭載する例が多いが、アウディはなぜかV型10気筒を搭載した。
実はF1グランプリでは2000年から2005年まで車両レギュレーションによりV12が禁止され、最大気筒数にはV10を採用していたのだ。アウディがF1グランプリにエンジンを供給しようとしたのかは不明だが、V10エンジンはモータースポーツ・イメージの強いエンジンとなっていたわけだ。
実際にアウディだけではなく、BMWもM5 、M6に5.0Lの高回転型V10エンジンを搭載した。またポルシェもスーパーカーとして少量生産したポルシェ カレラGTには5.7LのV10エンジンを搭載するなど、フラッグシップ・スポーツカー用はV型10気筒エンジンとなっていたのだ。