2018年9月5日、アウディジャパンはフラッグシップセダンの「A8」を8年ぶりにフルモデルチェンジし4世代目となる新型「A8」を発表し、10月15日から発売する。
A8は初代から常に、プレミアムカーにふさわしい最先端技術を積極的に採用してきたフラッグシップセダンだ。オール・アルミのアウディスペースフレーム(ASF)、高効率直噴エンジン、アダプティブエアサスペンション、前後不等分トルク配分のクワトロシステム、フルLEDヘッドライト、最先端のドライバーアシスタンスシステム、そして最新世代のMMIインフォテイメントを採用するなど、A8はアウディの技術的ショーケースとしての役割を受け持っている。新型は、さらなる革新技術を投入し、ラグジュアリークラスの新基準を打ち立てた。
エンジンとボディ
新型A8のボディサイズは、全長5170mm×全幅1945mm×全高1470mmで、従来型と比べて25mm長く、5mm高く、全幅だけは5mm狭くなっている。ホイールベースは6mm延長されて3000mmとなり、ロングホイールベース仕様のA8 L 60 TFSI クワトロはホイールベース、全長ともにさらに130mm長く、全高も15mm高い。車両重量は2040kg(A8 55 TFSI クワトロ)で、ラゲッジスペースの容量はA8、A8Lともに505Lだ。
ASFと呼ばれるボディはアルミニウム、スチール、マグネシウム、そしてカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)を組み合わせた複合素材で構成され、高強度・高剛性を実現。
異なる素材を精密かつ高い耐久性を持つように接合するため、14種類もの接合技法が投入され、その結果として、正確なハンドリングや静粛性を実現し、先代比24%アップのねじり剛性を実現している。
A8 55 TFSI クワトロに搭載されるエンジンは、3.0L 90度V6と4.0L 90度V8の2種類のターボTFSIエンジンだ。3.0L V6は最高出力340ps/500Nmを発生し、ツインスクロールターボはVバンク谷間に配置。またこのエンジンは中負荷以下ではミラーサイクル運転を行なう。
A8/A8L 60 TFSIクワトロに搭載される4.0L 90度V8ターボは460ps/660Nmを発生する。 エンジンとしてはV6型とモジュラー化され、Vバンク内にツインスクロールターボを2個装備。さらに低負荷時には左右バンクで2気筒ずつ、合計4気筒を休止するシステムとなっている。いずれのエンジンもトランスミッションは8速AT(ティプトロニック)が組み合わされている。
またこの2種類のエンジンは48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載する。小型リチウムイオン電池と、クランクシャフトに連結されたベルト駆動のオルタネーター/スターター(BAS)から構成されている。
55〜160km/hの範囲でドライバーがアクセルを戻すと、エンジンを停止してコースティング(惰性走行)、つまりゼロエミッションのまま最大40秒間の走行が可能だ。ドライバーがスロットルペダルを再び踏み込めば即座に、BASがエンジンをスムーズに再スタートさせる。さらにこの48Vシステムにより22km/h以下でのエンジンのストップ&スタートと最大12kWという高いエネルギー回生能力を実現している。
エクステリアとインテリア
デザインは新世代のアウディを象徴する6角形の大きなシングルフレームグリルが存在感を主張し、すべてのラインは幅広いグリルに滑らかに溶け込み、さらにエンジンフードのキャラクターラインとヘッドライトの造形も一体化されている。
HDマトリクスLEDヘッドライトユニットと一体化されたデイタイム・ランニングライトはグリル上端のフレームとそのままつながって見え、ライトユニットを分割する鋭い水平線を強調している。
サイドビューは、ルーフラインが鋭く落ちるクーペ的なデザインで、A8のスポーティさを表現。また前後のホイールを強調し前後フェンダーの上部が力強く膨らんでいる点もスポーツ性を表現している。
新型A8は、最先端の自動制御のライトシステムを装備する。左右各32個のLEDからなるマトリクスLEDハイビームとともに初めて組み込まれた「アウディレーザーライト」は、70km/h以上で作動し、一般的なハイビームの2倍の照射距離を誇る。
このレーザーライトはヘッドライトユニット内上部に組み込まれ、X字型のデザイントリムと青いアンビエントライトで識別できる。また、水平と垂直な部分を組み合わせたLEDデイタイム・ランニングライトは、ひと目で区別できる個性的な表情を作り出している。
またリヤランプは有機LEDを新採用。薄型の有機LEDフィルムとLEDを組み合わせ、ひと際明るく際立つようになっている。またこれら前後のライトは、キーロックが解除されると、ヘッドライトの外側から内側に光が流れ、続いてレーザースポットライトにブルーのLEDが点灯するなど、ライト類、室内でショー的な光の演出が行なわれる。
インテリアもアウディのフラッグシップにふさわしく、上質でエレガントな仕上げで統一。インスツルメントパネル上部に10.1インチのタッチ・ディスプレイ、センターコンソールに8.6インチのタッチディスプレイを配置。
いずれも触覚応答式を採用している。室内の灯火はすべてLED照明で、リヤ席用にはオプションでマトリクスLED照明が装備できる。シート類も最新の素材による軽量化と、極上の快適さを持つ新デザインを採用している。さらにA8 55 TFSIクワトロにはオプションでマッサージ機能付きシートを選択できる。
コネクト機能では、SIM内蔵通信モジュールを搭載し、インターネットに常時接続され、クラウドでのオンライン検索が自在にできる。またスマートフォンに「My Audiアプリ」をインストールすることで、スケジュールや目的地情報を車両側に送信できる。またリヤにはアウディ・タブレットが装備され車内のWiFiスポット機能が利用できる。オーディオは、オプションでハイエンドのバング&オルフセンを選択できる。
ドライバー支援システム
新型A8は、法的に許可されればレベル3の自動運転にも対応できるシステムを搭載している。そのため、ヴァレオ製のレーザースキャナー(LiDAR)を量産モデルとして初装備する。波長905ナノメートル、持続時間0.004mm秒(4ナノ秒)の赤外線パルスを145度の範囲で発振する。その反射光を1分間に750回転するミラーのフォトダイオードで検知して、周辺の物体と形状を正確に探知し3次元の環境認識を可能にするシステムで、カメラを凌駕する物体検知性能を備えている。
もちろんこの他に、クルマ全周に12個の超音波センサー、360度ビュー用の4個のカメラ、フロント・カメラ、4個の中距離レーダー、フロント用長距離レーダーなど合計23個のセンサーを装備。
この結果、アダプティブ・クルーズはレーンアシストおよびトラフィックジャムアシストの機能を統合、速度が0〜250km/hの範囲で設定した車間を守り、システムが自動的に加減速の操作を行なう。また車線から逸脱しないよう、状況に応じてある程度までステアリング操作をアシストするようになっている。そして常時車両の360度をモニターし、危険が迫ると車両が自動的に安全向上のために対応。さらに前後のクロストラフィックアシストにより、車両の横方向からの危険を警告。また右折時にも危険が迫ると自動ブレーキが作動するようになっている。
このように現時点で考えられるすべてのシステムを採用し、乗員の安全を守り、運転を支援するようになっている。そのため、各国の法規が許せばレーダー、カメラに加えレーザースキャナーを活用することで、自動車専用道路では手放しの運転も可能になってくる。なお、ドライバー支援システムなどすべての機能は、最新のセントラルドライバーアシスタンスコントローラーで統合制御されている。
しかしながら、ドライバーをモニターし、自動運転をドライバーへ戻すための装備類等は搭載しておらず、現状のシステムのアップデートで自動運転が可能になる、というレベルには設定していない。
*新型A8のシャシー、サスペンション:「アウディ 新型A8が採用するアクティブ・サスペンションに注目」