2015年7月30日、アウディ・ジャパンは、4年ぶりのビッグマイナーチェンジを受けたA6セダン/、A6アバント、A6オールロードクワトロ、S6セダン、S6アバント、RS6アバントを発表し、同日から販売を開始した。
現在のA6シリーズ(C7型)は2011年に発売されており、今回のマイナーチェンジは4年振り。今回は、最新のシングルフレーム・グリル、新デザインのヘッドライト、テールランプを採用するなどエクステリアも若干変更されているが、最も大きな変更点はA6標準モデルのエンジンを最新版に変更し、出力の向上と燃費性能をアップさせていることだろう。
まずエクステリアではシングルフレームグリルのサイドバーを従来の7本から8本にして、バーにクロームのトリムを追加している。ヘッドライトはバイキセノンユニットが標準で、今回から上級モデルにはフルLED、マトリクスLEDヘッドライトが標準もしくはオプション設定されている。リヤのコンビネーションライトは全車LEDタイプを採用。マトリクスLEDヘッドライト装着車は、ウインカーを使用すると内側から外側に向けてイエローの光が流れる「ダイナミックインジケーター」を内蔵している。
アバント系の車種は全車が電動開閉式のテールゲートが標準装備し、テールゲートの動きに合わせて自動開閉する電動ラゲッジカバーも装備される。
ボディカラーは、シリーズ全体で合計15色とし、7種類の新色が追加されている。ホイールは17インチ~21インチサイズまで、オプションを合わせ合計19種類が設定されている。
インテリアは、セレクターレバーとグローブボックスのクワトロのロゴが変更されただけだが、インテリアカラーとパネルの組み合わせが刷新されて、カラーも新色が追加され、よりシックで高い質感を実現している。
また今回からA6シリーズには全車が電動格納式大型ディスプレイを持つMMIナビゲーションが標準装備されている。またインターネット常時接続ができ、室内を最大8台までのモバイル機器が同時接続できるWi-Fiホットスポット機能を持つアウディ・コネクトを装備している。またオペレーターに接続し、検索や予約など各種サービスを受けられるAudi connect Navigatorと呼ばれるコンセルジュサービスも採用されている。
A6シリーズは、MLP(モジュラー縦置きプラットフォーム)を採用し、大幅にアルミ材を採用し、高強度スチール材と組み合わせたハイブリッド・ボディ構造を採用し、クラス最軽量のボディとなっている。Aピラー、ルーフアーチ、センタートンネル、サイドシル、Bピラーなど、応力負荷の大きい部分にはスチールのホットプレス材を、その他のスチール材もテーラードブランク(差厚鋼板)を採用して軽量化と強度向上を両立する。
また、サスペンション、リヤサブフレーム、エンジンの各マウントには液封マウントを採用し、キャビンの前部とサイドに施された防音塗装、ドアに採用された3重シール、遮音性能の高いウインドゥガラスなどにより防音性能を高め静粛なキャビンを実現。空力性能は、セダンでCd=0.26、アバントで0.30とトップレベルの性能を備えている。<次ページへ>
A6シリーズのエンジンの新たなラインアップは、標準のA6セダン/アバントは1.8L・TFSI、2.0L・TFSI、3.0LスーパーチャージドTFSIという3種類のダウンサイジングエンジンに絞り込み、従来の2.8L・FSIエンジンは廃止されている。そして3種類のTFSIエンジンはいずれも最新の技術が投入され出力アップと燃費の向上を図っている。
1.8L・TFSIはFFモデル専用で、トランスミッションは従来のCVTではなく、新たに7速Sトロニックと組み合わせている。総排気量1798cc(82.5㎜×84.0mm)で、190ps/320Nmと、従来型の2.0・TFSIを上回る性能を発生する。燃料噴射は直噴とポート噴射を組み合わせたデュアルインジェクションを採用している。排気マニホールドはシリンダーヘッド一体型とし、動弁システムは可変バルブタイミングシステムと、排気側の可変バルブリフト機構を備えている。つまり最新のスペックを盛り込んでいるのだ。
新型2.0・TFSIは1.8L版とまったく同じシステムを備え、クワトロモデルに搭載される。出力は252ps/370Nmで、従来型の2.0・TFSIと比べ72ps/50Nmも出力をアップし、自然吸気の2.8・FSIをも上回る実力を持ち、燃費も15%向上した。
標準A6のトップレンジとなる3.0L・90度V6スーパーチャージドエンジンは、従来型より23ps(約7%)アップし333PSの最高出力と440Nmの最大トルクを発揮する。今回からスーパーチャージャーの駆動システムに電磁クラッチを新採用し、必要に応じてクラッチを切断することで燃費を向上。
動弁システムは広角可変バルブタイミング、排気側可変バルブリフトシステムなどは、4気筒版と同じシステムを採用。燃費は従来仕様に比べ約13%向上させている。
なお、トランスミッションはA6 、S6シリーズはすべて7速Sトロニック(DCT)を採用し、RS6のみは8速ティプトロニック(AT)を搭載している。
クワトロ・システムは従来通りセルフロッキング式センターデフを備え、前後アクスルは電子制御LSD機能によりトルクベクタリングを行なう。さらにS6 、RS6はリヤにアクティブ・トルクベクタリングを行なうスポーツディファレンシャルを標準装備している。
サスペンションは従来通り、フロントは5リンク式、リヤはトラペゾイダル式を採用。なおA6オールロード・クワトロはアダプティブ エアサスペンションを装備し、可変車高式としている。またRS6は、スポーツサスペンションプラスを装備し、スチール製スプリングを用いながら、対角線のサスペンションの油圧関連制御により走行中の車体の動きを抑えるDRC(ダイナミックライドコントロール)を備える。
運転支援システムとしては、追突防止のためのアウディ・プレセンスプラス、夜間視界向上のためのナイトビジョン・アシスタントなどに加えて、ドライバーの車線維持操作を助けるアウディ・アクティブレーンアシスト、車線変更の安全確保のためのアウディ・サイドアシスト、夜間視界を向上するマトリクスLEDヘッドライトを新設定。また超音波センサーを用いて道路に沿った適切な駐車スペースを探し、さらにドライバーに代わってステアリング操作を行なうアウディ・パーキングシステムも装備している。
アウディA6 S6セダン 諸元表
アウディ A6 S6アバント 諸元表
アウディ A6 オールロード・クワトロ 諸元表
アウディ RS6 アバント 諸元表