新型A4試乗記 本命はFFか?!クワトロとFFどっちがベストチョイス?

マニアック評価vol425

左がFFのA4 2.0 TFSI、右はA4 2.0 TFSI クワトロ SPORT
左がFFのA4 2.0 TFSI、右はA4 2.0 TFSI クワトロ SPORT

新型アウディA4の解説記事を読んでいただくと、見た目以上の革新的進化を遂げていることはお分かりいただけたと思う。だが、しかし、試乗してみないことには、その進化の度合いも伝わりにくいというものだ。では、早速試乗した時のレポートをしよう。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>

■クワトロを試乗
試乗したのはA4 2.0 TFSIクワトロ SPORTと、FFモデルのA4 2.0 TFSIの2台だ。なおSPORT仕様は、FF、クワトロのいずれにも設定されている。SPORT仕様は20mmローダウンされるスポーツ・サスペンション、シートヒータ付きスポーツシート、17インチホイールの幅が7.5J(標準モデルは7.0J)といった違いがある。

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2.0 TFSIクワトロ SPORT S Lineパッケージ

まずは2.0 TFSI クワトロ SPORTから。試乗車はオプションの18インチホイールに245/40R18のピレリP7を装着し、内外装もS Lineパッケージを装着した最もスポーティな仕様だった。ドアハンドルは引き上げ式になったが、相変わらずドアの開閉は軽く、しかも上質なフィーリングだ。

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シートはホールド性に優れたスポーツシートで、ステアリングもS Lineのバッジ付きのスポーツステアリングで、気持ちを高揚させる。しかし、仔細に見るとインテリアの作り込み、仕上げなどはこのクラスの常識を打ち破る質感が実感できる。

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もともとアウディのインテリアの質感は一クラス上を感じさせていたが、この新型はさらに精緻で洗練されている。オーナーにとってはこうした所は一番心に響くはずだ。

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走り出すと、252ps/370Nmのエンジンはトルクが太く、しかも滑らかに高回転まで吹け上がり、力強い。動力性能は2.0 TFSI クワトロ SPORTというグレードにふさわしいものだ。低速では軽く、スピードが上がるにつれ、引き締まってくるダイレクト感のあるステアリングのフィーリングも好ましい。またブレーキのフィーリングも絶妙で、剛性感、踏力に応じた効き具合、安心感などは高いレベルにある。

このクワトロ・モデルは前後荷重配分が56:44で、前後輪に作動するトルクベクタリングを備えているので、コーナリングはまさにオンザレール。車重は1660kgと2.0Lエンジン車としてはけっこうなレベルだが、その車重を感じさせない軽快な身のこなしと、力強い加速はこのクルマの実力といえる。

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252ps/370Nを発生するクワトロ用のCYR型エンジン

走行中の静粛さはさらに向上し、走行中のキャビン内は一クラス上の快適性だ。しかし、乗り心地はさすがにスポーツ・サスペンションにオプションの18インチ・タイヤの組み合わせで硬めだ。ゴツゴツ感を感じないが、路面の凹凸を拾ってひょこひょこした動きが生じる。スポーツモデルなりの乗り心地といえるのだが。これが17インチ・タイヤとの組み合わせなら、もう少ししなやかさが感じられるのではないかと感じた。

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ローダウンされ引き締められたサスペンションと、パワフルな2.0Lターボ、そしてパドルを使った小気味よいSトロニック・トランスミッションでの走りのA4 2.0 TFSIクワトロ SPORTは、スポーツ・ドライビングを好むユーザー層にはうってつけのグレードであることは間違いない。

■FFモデルに試乗
次はFFモデルのA4 2.0 TFSIだ。最新版のエンジンを搭載しており、車重は1500kgと、クワトロより160kgも軽い。前後荷重配分は58:42とクワトロと比べるとフロントヘビーだが、車重そのものが軽いので、走り出した瞬間から軽快さが感じられる。

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前輪駆動のA4 2.0 TFSI

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しかも新エンジンは、明らかにクワトロのエンジンより吹け上がりのフィーリングが軽く、レスポンスがよいのだ。これはおそらくエンジン本体のフリクションが小さいことが効いているのだろう。もちろん低速からトルクは強力で、フレキシブルで常用域での扱いやすさ、加速感は62ps/50Nmの差を感じないどころか、むしろこちらの方が上ではないかと錯覚するほどだった。

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190ps/320Nmを発生するミラーサイクルとターボを組み合わせたCVK型エンジン

クワトロ用のエンジンは6800rpm以上がレッドゾーンで、この回転までよどみなく吹け上がるが、このFF用のCVK型は6000rpmからがレッドゾーンで、それだけバルブスプリングのセット荷重も低く、低中速型に特化しているのだ。とにかくアクセルを踏み込んで吹け上がるフィーリングは気持ちよく、滑らかな質感は文句なしにこちらが上だと思う。

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サスペンションは標準タイプで、装着タイヤは225/50R17(ミシュラン・プライマシー3)で、走り出した瞬間からしなやかさが体に伝わってくる。実はベースモデルのタイヤは205/60R16だが、試乗車はSPORT用に設定されている17インチサイズにアップされている。

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しかしこの乗り味はSPORTとは別次元だった。路面の凹凸をしなやかにいなす、それでいて適度に締まったフラットで上品な乗り心地は、これぞプレミアム・セダンと実感させ、競合車を上回っている。標準の16インチ、60扁平のタイヤならさらに乗り心地は上だろう。

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ステアリングは、タイヤ幅が狭い分だけクワトロ SPORTより軽く、しかも正確な路面インフォメーションはきっちり伝わってくる。そしてスピードが上がれば車速に応じて操舵力、操舵反力が上がり、センター部も一段と締まってくる。しなやかな乗り心地とこのステアリングフィールはスポーツ系とはまた違う、癒し系の気持ちよさが感じられた。長時間ドライブしても疲れにくい、運転に飽きないドライブフィーリングである。

またブレーキのフィーリングも剛性感と滑らかさ、コントロール性のバランスがよく、加速感、乗り心地、ステアリングフィール、ブレーキといったすべての要素が高い次元で調和が取れている。

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さらにこの新型からは現状で万全ともいうべきドライバー支援システムが、特にトラフィックジャム・アシスト付きのクルーズコントロールが装備され、高速道路から渋滞路まで半自動運転ができるようになっていることも、大きな進化だ。今回の試乗では渋滞での自動追従を試すことはできなかったが、高速道路でのアクティブレーンアシストは思ったより強めに車線中央にステアリングが戻されるのが体感できた。

A4シリーズは従来から販売比率は70%がFFモデルなのだそうだが、新型のFFモデルはエンジンのフィーリングのよさ、バツグンの低燃費、標準モデルの乗り心地のよさなど総合的な完成度の高さからいって、本命グレードにふさわしいできばえだ。

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