2015年4月30日~5月2日、ベルギーのスパ・フランコルシャンでWEC 2015 第2戦が開催された。この6時間レースは、シーズン中の最大イベント、ル・マン24時間レースの前哨戦という意味も大きく、各チームもル・マンを視野に入れたチーム体制で臨んでいる。
今回のレースでは、アウディ、ポルシェは3台体制で、ル・マン仕様の低ダウンフォースタイプを持ち込み、実戦テストを兼ねて出場。一方、デフェンディング・チャンピオンチームのトヨタ(今回からトヨタ・レーシングではなくトヨタ GAZOOレーシングと名称変更)は、これまで通りの2台体制だ。
しかし、公式練習走行でトヨタに衝撃が走った。1回目の走行で1号車に乗る中島一貴選手がアウディに追突してクラッシュ。マシンはモノコック部まで破損し、中島選手は脊椎部分骨折で入院することになった。当然ながら中島選手は欠場となり、マシンは予選までに大特急でケルンから取り寄せたモノコックへの交換作業を行なった。
予選では、ポルシェの3台が圧倒的ともいえる速さを発揮し、ポールから3番手までを独占した。そしてアウディの7、8号車が4、5番手に付け、トヨタが6、7番手。そしてアウディの唯一のハイダウンフォース仕様の9号車が8番手だ。
タイム的にはアウディはポルシェより1秒遅れ、トヨタはポルシェより3秒ほど遅い結果となっている。実はトヨタも2014年のこのレースよりラップタイムは向上しているが、ポルシェ、アウディの進化の度合いは予想をはるかに上回るレベルなのだ。
決勝レースは、スタートからダッシュしたポルシェ勢をアウディ、トヨタが追う展開となったが、トップに立ったポルシェ17号車は23周目にバスストップ・シケインでブレーキをロックさせ、エスケープゾーンを走ったため15秒のストップ&ゴー・ペナルティーを受けて2位に後退。さらにこのマシンはレース中にリヤダンパーを交換し、その遅れが響いて3位でゴールすることになった。
トヨタは、トップグループのさまざまなアクシデントにより上位につけていた。レースの中盤には2号車が5位、1号車はその直後に付けていた。ところがその後1号車は電気系のトラブルで2度に渡って修復作業を余儀なくされ、20分以上を失ってしまった。このため2号車が5位、1号車は8位でレースを終えた。
ポルシェ19号車は、レース序盤にコースアウトし、フロント部を破損したためピットで修理を行ない、大幅に遅れたもののこれを取り戻すため激しい追い上げを見せ、6位でのゴールとなった。
レースの中盤からは、ポルシェ18号車とアウディ7号車は、ピットストップのたびにトップのポジションを入れ替えるスリリングな展開になったが、最終的に迫るポルシェ18号車を振り切って、アウディ7号車が2連勝を飾ることになった。当初は2番手に浮上したアウディ8号車は、電子制御トラブルと、コースアウトした時に痛めたフロントカウルの交換を行なったため遅れ、7位に終わった。
ハイダウンフォース仕様のアウディ9号車は8番手からスタートし、コンスタントに走行を続けたが、レース中盤に左側のサイドウインドウが脱落し、ピットで修理を行なった。しかし、その後は順調に走行し4位でフィニッシュしている。