【WEC2015】アウディモータースポーツ総本山 HEVシステムを変更したR18 e-tronクワトロを発表

2015年型 アウディR18 r-tronクワトロ
2015年型 アウディR18 e-tronクワトロ

2015年3月21日、アウディはモータースポーツ開発部門を新たにノイブルク(インゴルシュタットから西へ約20kmのドナウ川沿いの街)に開設して、正式オープンした。

ノイブルクに新規オープンしたアウディ モータースポーツ開発センター
ノイブルクに新規オープンしたアウディ モータースポーツ開発センター

アウディモータースポーツ代表のウォルフガング・ウルリッヒ博士は、「我々は今年は、これまでになく多くのスケジュールをこなさなければなりません。ここノイブルクにモータースポーツ開発センターが新設されたことで、私達は最高の条件を手に入れました。新しい環境のもとで、我々は快適に作業を進めています。特に、今シーズン向けのレーシングカー組み立てを始めた数週間前から、アウディスポーツやパートナーチームのメカニックは、最適な作業環境の重要性をあらためて認識しました」と語っている。

R18 e-tron quattroR18 e-tron quattro

 

この日、ル・マン24時間レースを含むFIA世界耐久選手権(WEC)に向けてアウディスポーツが開発している新型R18 e-tron クワトロが初めて公開された。LMPプロジェクトリーダーのクリス・レインケは「4年連続でル・マン24時間レースの優勝を獲得するため、数多くのことに焦点を当てて開発してきました」と語る。

2015年モデルとなるR18 e-tron クワトロは、空力、エンジン、ハイブリッドシステムのどれもが大きく進化している。特にハイブリッドシステムと空力は基本からダイナミックに革新されている。空力デザインではフロント周り、サイドポッド、リヤエンドなどに手が入れられている。

R18 e-tron quattro

フロント左右には大きなエアインテークを備え、フロントホイールハウスに空気を導入することで空気抵抗を低減。またフロントエンドの空気抵抗を低減するためにヘッドライト周りのデザインも一新されている。ただライトユニットはこれまで通り、マトリックスLEDとレーザーライトが採用されている。

ワンピースタイプのカーボン製モノコックはこれまでのものを使用するが、もちろんフロントボディカバー形状やホイールアーチ形状は変更。これらのボディ部は衝撃吸収構造となっている。ボディサイドの空力も改良され、空気抵抗を低減しつつサイドラジエーターやハイブリッドシステムを冷却できるようになっている。

エンジンカバー部はより細く、後部のテーパー角度も強められている。もちろん今シーズンもル・マン用とノーマルボディの2種類を設定している。

ハイブリッドシステムはついに大幅に変更された。ハイブリッドクラスはこれまでの2メガジュールから4メガジュールにクラス変更した。減速回生エネルギーで前輪を駆動するシステムは変更していない。モーター出力は2014年より17%アップし200kW(272ps)に向上。このためドライバーシートの横にあるフライホイールジェネレーターは700キロジュールの容量に高められている。

R18 e-tron quattro

このハイブリッドシステムの4メガジュール化に伴い、エンジンの燃費もさらに高める必要があった。結果的にディーゼルエンジンの燃費は2.5%向上している。このためV6型 TDIは燃費面で大幅に改良されているが出力は410kW(557ps)としている。

R18 e-tron quattro

今シーズンからは1台当たりの年間エンジン数は5基とされているため、耐久信頼性も従来以上に高められている。

WEC以外のモータースポーツ開発部門ではDTM用マシンのRS DTMの開発が、LMPマシン製作を上回る忙しさになっている。アウディスポーツDTMプロジェクトリーダーのディエター・ガスは「2014年シーズンの第3戦目にようやくホモロゲーションを獲得したマシンなので、オフシーズンの間に充分な開発時間を持てませんでした。が、それでも我々はポテンシャルを最大限高められるように作業を進めてきました」とコメントしている。

さらに5月に行なわれるニュルブルクリンク24時間レースに向けて、カスタマーレーシング部もノイブルクへ移転した。ニュルブルクリンク24時間レース用に完全に新しいレーシングカーが準備された。

新型R8 LMSはチームフェニックスレーシングとWRTが、それぞれ2台の新型R8 LMSで、ニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャンの24時間レースに挑む。VLN耐久選手権とブランパン耐久シリーズにもアウディスポーツ・カスタマーレーシングによるテスト参戦が計画されているという。

R18 e-tron quattroR18 e-tron quattro

 

さらに、アウディスポーツ開発部門は、アウディスポーツTTカップも2015年から発足させることになっている。プロジェクトリーダーのロルフ・ミシェルは「現在、1週間に5台のハイペースでTTカップ用のレーシングカーを組み上げています。まだ初レースが行なわれる前の段階ですが、それでもアウディスポーツTTカップへの期待と反応は非常に大きく、私は既に素晴らしいレースが展開されることを確信しています」とコメントている。アウディスポーツTTカップは、アウディTTを使用したワンメイクレースで、レース仕様車はアウディモータースポーツ部門で一括製作される。

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