2018年3月1日、アウディとポルシェは2017年5月に電気自動車のプラットフォームの共同開発を始めると発表した。フォルクスワーゲン・グループのプレミアムブランド2社は、プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)と呼ばれる先進的アーキテクチャーの共同開発を行なう意義は、将来の電気自動車を迅速に市場へ投入するためだとしている。
先進技術を前面に打ち出している両社は、共同開発を行なうことにより、開発能力を有効活用し、電動化、デジタル化、自動運転、そして効率の高い従来型駆動システムなど幅広い分野に取り組んでいる。
ポルシェAG取締役会長のオリバー・ブルーメCEOは「これらの挑戦に自社だけで取り組めば、コストは3割程度高くなっていたはずです」と述べている。アウディ取締役会長のルパート・シュタートラーCEOは、「PPEは私たちの未来にとってカギとなるものです。自動車産業において類を見ない今回のコラボレーションにより、クルマの特性、ゼロエミッション、収益性のすべてが理想的な組み合わせになります。つまり1+1が3になることを意味しています」
共同プロジェクトの拠点はインゴルシュタットとヴァイザッハの両方に置かれており、3機種のモデルファミリーが誕生する予定だ。アウディは、両社のモデルを含む3機種の車両プロジェクトのうち、2つを主導しており、残りのプロジェクトをポルシェが主導している。このプロジェクトに関わる開発者の人数は、アウディが約550人、ポルシェが約300人で、今後はさらに増加させるという。各開発担当者は、週2日間は相手方企業で仕事をするという。
アウディとポルシェは、新開発される電気自動車アーキテクチャーにより、パッケージ、ホイールベース、室内スペースといった各面における電気自動車の利点を最大限に追求する。またこのアーキテクチャーは高い柔軟性を備えており、ハイフロアモデル(SUV)にもローフロアモデル(セダン)にも適用することが可能だという。
このPPEを採用する最初のモデルは2021年に登場する予定だが、2018年、2019年に投入されるアウディ e-tron、ポルシェ ミッションEの市販モデルが、それぞれのブランドにとって初めての電気自動車となる。
将来におけるアウディの製品ポートフォリオは、フォルクスワーゲンによって開発されたコスト効率の高いMEB(モジュラー・エレクトリフィケーション・プラットフォーム)、今回のPPE、従来型プラットフォームを改良したアーキテクチャー、スポーティモデル用のプラットフォームなど、きわめて多様な展開となる。
アウディのシュタートラーCEOは、「当社は、財務的、技術的な強味により、競合他社よりも一歩抜きん出た存在となっています。今回のコラボレーションはきわめて順調に進んでいます。両社ともに、明確に差別化された製品の特徴を出すことが最大の優先事項であると考えています。アウディはこのチャンスを捉え、デザイン、車両インテリア、ユーザーインターフェイスの各分野において、これまで以上に他と一線を画したスタイルの実現を目指しています」と語っている。
ポルシェは、2018年2月の時点で、かつてない開発計画を進めていることを発表している。プラグインハイブリッドと純粋な電気自動車の両方に重点を置きながら2022年までにeモビリティに7800億円を超える投資を決定している。
当初の経営計画では3900億円の投資とされてきたが、一挙に倍増させているのだ。その倍増分の内訳は、600psを発生する電気自動車スポーツカー「ミッションE」とその派生モデルのために650億円、1300億円が既存のプロダクト・ラインアップの電気動化、ハイブリッド化に使用される。それ以外は、生産設備の拡充、新たな技術開発費、充電インフラへの投資となっている。
フォルクスワーゲン・グループは、フォルクスワーゲンだけではなくアウディ、ポルシェも電気駆動化のための投資、開発はいよいよ本格化していることを見て取ることができる。