【WEC2012】 アウディ上位独占 ルマン24時間耐久レースで圧倒的な速さ!

アウディR18etron quattroの画像

2012年6月16?17日、第80回ル・マン24時間耐久レースが開催され、アウディチームが1、2、3、5位位を独占し、結果的に圧勝となった。また1-2位に入ったアウディR18 e tron quattroはル・マン史上初のハイブリッドカーとして歴史に名を刻むことになった。

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優勝したアウディ R18 e tron quattro(1号車)

アウディとして11回目の優勝を果たしたのはマルセル・ファスラー、アンドレ・ロッテラー、ブノワ・トレルイエが乗るR18 e tron quattroであった。ツインエントリーのVTGターボ・ディーゼル、新採用したカーボンファイバー製の超軽量トランスミッションも5151kmを走破してノートラブルだった。

ルマン24時間レースでのアウディ画像ルマン24時間レースでのアウディ画像

ルマン24時間レースでのアウディ画像

一方、ル・マンにぶっつけ本番で挑んだハイブリッドカー、TS030を持ち込んだトヨタレーシングは、スタート後の夜半にはアウディとトップ争いを繰り広げたが、2台のTS030のうちアンソニー・デビッドソンがステアリングを握っていた8号車が5時間が経過した頃、ミュルサンヌのカーブ入り口でGTカーとの接触事故により大破してリタイヤ。デビッドソンは全治3ヶ月の負傷を負った。

この事故により約1時間、セーフティカーが導入され、レース再開直後に残った7号車は、あろうことか日産デルタウイングを弾き飛ばして自らも損傷し、さらにその後にエンジントラブルを起こして 10時間を経過した時点でリタイヤしてしまった。TS030は予選でもエンジントラブルを発生しており、エンジンの信頼性に欠けたといえる。

ルマン24時間レースの画像ルマン24時間レースの画像

TS030のリタイヤの結果、アウディにとっては楽なレース展開になったが、4台のR18、特に2台のe tron同士のチームオーダーのない戦いになり、土曜の夜から日曜日の正午頃まで、2台は数秒差で何度もトップが入れ替わった。このため、アウディチームも思わぬコースアウトなどでボディに損傷を受けたが、ピットでは迅速に修理して対応した。

またR18 ultraもレース後半にコースアウトしてバリアに衝突し、フロントサスペンションを壊すというアクシデントもあったが、この大きな損傷でさえピットで驚くほどの速さで修理を終えている。こうした予想外のコースアウトや事故が多く、チームも肝を冷やしたが、最終的には十分満足できる結果となった。

なお、ハイブリッドシステムはトヨタが前輪の発電機で回生し、キャパシターを用いた蓄電システムであるのに対し、アウディR18 e tronはポルシェがニュルブルクリンク24時間レースで使用して実績のあるフライホイール・ジェネレーターを採用。これに蓄電し前輪を2個のモーターで駆動するシステムであった。しかし、いずれもレース規則によりエネルギー回生量=蓄電量が限定されているため、F1のKERSと同様に主としてエンジンパワーのブースト装置として機能するため、燃費での貢献度は大きくなかった。

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LMP2クラスの中盤グループと同等の速さを見せた日産デルタウイング

注目の日産デルタウィングは、スタートから安定して走行を続けていたが、セーフティカーによる先導走行が解除された直後の集団走行時に、アウディを追ってオーバーテイクをしかけた中島選手がステアリングを握るTS030に押し出されウォールに激突。搭乗していた本山哲はコース復帰を目指し、コースサイドにいるチームから指示を受けながら修復作業をした。しかし、90分近く奮闘を続けたが努力の甲斐なく、リタイヤとなった。

デルタウィングは、ル・マンでリタイヤするまで1005kmを走破した。そのスピードはLMP2と同レベルのペースで走行し、燃料消費はレース前の試算通り、LMP1車両の半分程度であったという。また日産のエンジン搭載車はLMP2クラスのトップ10の中に9台入賞した。

LMP1クラスで、アウディの間に割って入り4位に入賞したのはルビリオンレーシングのローラB12/60・トヨタ。また6位にはJRMチームのHPD ARX 03a・ホンダが入った。LMP2クラスのトップはスターワークスのHPD ARX 03b・ホンダ、2位にTDSレーシングのOreca 03・日産が入っている。

またLM-GTE proクラスはフェラーリ458イタリアがワンツーで、3位にアストンマーティン・バンテージV8が食い込んだ。シボレーチームのコルベットC6.Rは5位と6位。LM-GTE amクラスではコルベットC6.Rが終盤でトップ走行。タイヤがバーストしたポルシェ911 GT3 RSRを逆転して優勝を果たしている。

なお、6月18日発のニュースとして、マツダ・ノースアメリカのモータースポーツ部門「マツダモータースポーツ」が、スカイアクティブD技術を使用したディーゼルエンジンを2013年ル・マン24時間レースのLMP2クラスに出場するアメリカのチーム、デンプシーレーシングなどに供給すると発表した。

レース用の4気筒・ツインターボ・ディーゼルエンジンは、マツダ、マツダ・ノースアメリカ、スピードソースエンジニアリングで共同開発を行い、すでにベンチテストが行われ、2012年年末には走行テストを開始するとしている。

ルマン24時間レース公式サイト

COTY
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