【コラム】クルマと過ごす日々vol.34 EV化を下支えするロータリーエンジンの復活と自工会からのFAX

9月27日のことですが、1枚のFAXが編集部に届きました。差出人は「自動車工業会 会長 豊田章男」となってます。

内容は日米首脳間で協議されていた自動車の関税に関してですが、FAXには「協議中は、米国通商拡大法232条に基づく輸入自動車への追加関税措置が発動されない状況となったことを歓迎します」とありました。

25%という途方もない関税を振りかざされたわけで、日本としては穏やかではなかったですよね。ほっと胸をなでおろしたということでしょうが、当のトランプ大統領は日米貿易交渉ができたのは、この関税を持ち出したからだと、自身の功績を説明しています。

その話を聞く限り、この先の交渉次第(牛肉や農産品など)ではクルマの関税が復活するぞ、という脅しにも聞こえますけどね。

ところで、NAFTA2国間協議でメキシコ、カナダと米国の協議では、新協定における関税の見直しがあったようで、メキシコ製造でアメリカ販売されるクルマには関税がかかると言われてましたが、10月1日ロイターによると「25%の関税を課すことを引き続き可能にしている一方で、関税が発動された場合、カナダ、メキシコから輸入した乗用車やピックアップトラック、自動車部品の多くは関税の適用外となる」という協定補足文書の説明を伝えていました。

マツダは北米向けの一部のモデルをメキシコ工場で生産していますから、関税発動があるのかないのかは大きな心配事でした。なにせ、25%も税金がかかれば利益率が下がるレベルではなく、すべての経営資源の見直しになり、死活問題にまで発展しそうでしたからね。ま、マツダだけではないのですけど。

そのマツダは男前でした。その翌日10月2日「マツダ技術説明会2018」が行なわれました。その内容はメルセデスが言うところの「CASE」Connected Autonomous Shared Electricにどう対応するか?という説明会でした。詳しくはこちらで説明しています。
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マツダ技術説明会2018

ここで注目したのはロータリーエンジン(RE)の復活と、コネクテッドへの取り組みでした。REは来たるEV化に向けてレンジエクステンダー用エンジンとして再開発したということです。そしてマルチxEV技術です。ピュアEVの欠点はWell to Wheelでカーボンニュートラルでない点と、電欠不安だということで、マツダはxEVを掲げました。

エクステンダーEVです。その手法はレンジエクステンダー、プラグインハイブリッド、シリーズハイブリッドがあり、それぞれで発電機としてREを使う場合のREの負荷は、搭載バッテリーサイズ、搭載燃料量でそれぞれが異なりますが、時代の変化に応じて対応できるマルチソリューションにも位置付けられるとしています。

もっともハイブリッドやマイルドハイブリッドは第2世代となるスカイアクティブエンジン群、Xも含んだ内燃エンジンと組み合わせていくのが中心の商品ラインアップとなるのですけど。

マツダ技術説明会2018

さらに、可能性としてガソリンだけでなく、CNG、LPG、水素の可能性もなくはないわけで、それはREで駆動するピュアエンジンのことですけど、REで名を馳せたマツダが、REで次世代に飛び込んだというなんとも、男気のある説明会でした。

autoproveはREの中味も気になりましたが、それはいずれ説明があると思います。なにせ、燃焼室が移動するREで、高圧縮が難しく、熱効率のいいところの定格で淡々と回転するエンジンだとしても、効率がいいとは思えず、CO2は気になります。そのあたりも革新的な改良があったのではないか?と予測しております。つまり、同時多発的に着火させているとか。。。

そしてコネクテッドはトヨタとの協調領域で開発を進めていく、ということですが、これは新たな収入源開拓の中心的存在だということです。カーシェアリングや配車サービスなどが今言われていますが、もっと他のことも出てくるということでしょう。未来のマツダのビジネスにおける屋台骨がコネクテッドだと位置づけているわけです。

以前にも書きましたが、次世代車は所有するクルマと使用するクルマになるというのが、専門家(自動車アナリスト)による分析であり、所有するクルマとは、プレミアムモデルであり、どこにもない特徴のあるクルマであり、そして使用するクルマに個性は不要で事故ゼロ、エミッションゼロ、便利であるものという二分化です。

EV C.A.Spirit社は使用するクルマの土台を開発しているとタカハシは予測していて、そこには、スバル、スズキも加わっています。その土台はすべての製造メーカーに販売すると想像しています。近い将来、ドイツVWと戦うつもりだろうと思っています。

マツダ技術説明会2018

そして、これまでICE搭載車には各社個性がありました。が、EV、モーターカーになるとダイナミック性能において個性を作るのは不可能だというのが専門家(自動車アナリスト)の間では定番化しています。

その意見に対してもマツダはGVCで個性化できると説明がありました。確かに・・・。

楽しみですね。
 
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