【ここだけの話】自動運転の誤解とその行方 スタッフブログVOL35

最近自動運転に関するニュースが一般メディアでも多く扱われるようになってきた。

自動運転イメージ
自動運転イメージ。車線を認識し、前車を捕捉し追従する。

自動車メーカーが開発目標としている自動運転とは、交通事故をゼロにする。ケガや死亡事故をなくすことが目的で、その恩恵としてドライバーの疲労軽減などもある。ということと、グーグルやZMP社のような自動車メーカーではない企業が開発する自動運転は、まさに自動で目的地に着く移動カプセルの開発である、という違いがあると思う。

どのように自動運転が進化し、実現に近づいてきたかといえば、センサー類の進歩や解析技術の進歩などがあげられる。クルマ側でいえばブレーキの制御やステアリングの電動アシスト機能、誤発進防止ではエンジン制御技術なども含まれてくる。これらが総合的に進歩、発展し続けて自動運転の世界が見えてきたわけだ。

これらの技術にはサプライヤーといわれるメーカーの力が大きく影響している。メルセデス・ベンツやボルボ、スバルにもそれらサプライヤーからの技術や部品が供給され、共同研究されている。例えば、ボッシュ、コンチネンタル、デンソー、日立オートモーティブ、富士通などがそうだ。そして解析技術は独自開発やサプライヤー、研究機関との共同研究も行なわれている。

そしてサプライヤーは需要があれば、自動車メーカーでなくても当然供給する。そしてそのお得意様が目指しているものがどのようなものなのか?というのは、供給側には関係ない。もちろん軍事技術であれば無関係とはいえないが、その場合は一企業ではなく国が関与していると想像できる。国内であれば武器輸出、に相当するのか?などが問題になる。

自動運転の開発はこうした背景の中で開発が進み、今後はインフラ整備、事故が起きたときの責任の問題、法律などの整備は必要となってくる。

さて、われわれユーザーはクルマの運転する楽しみ、喜びがあり、そして事故が起きない安全なクルマが欲しいと願っているわけで、自動運転するカプセルとは別なものではないだろうか。だからカプセルはダメだという話ではなく、出発点が異なりこの先、進む方向も違うのではないか?と思う。

ただし、道路を走るうえでは同居するわけで、それには自動車メーカーや関連企業だけで先に進めることは難しく、さらに言えば日本だけの問題として解決できず、欧州、米国、日本が中心となって問題に取り組む必要が出てきていると思う。今年のJSAE春季大会の【自動車安全シンポジウム】ではこれらの組織からも参加があり、それぞれの抱える問題を話しあっていた。国際モータージャーナリストの清水和夫氏もパネラーとして参加している。司会はNHK論説委員室山哲也だった。

自動運転による恩恵はたくさん産まれるだろう。交通事故の解決だけでなくさまざまなメリットが生まれる。たとえば過疎エリアの老人たちの自由が増える、身体が不自由な人の自由度の拡大、また渋滞の解消、などなど容易に想像できるものもあれば、こんなこともできるのか!ということもきっと起こるだろう。

今は、自動車メディアの立場から、「自動車の自動運転」という立場でモノを考えていこうと思う。そして、自分自身が年齢を重ね『運転はもうやめなさい』という意見が周囲から出たら、素直に免許を返納したい。その状況になってまでも、私は自由気ままに移動できる自動運転カプセルが欲しいのだろうか? byタカハシ

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