【ここだけの話】VOL29 その4最終回 欧州取材痛遊紀行 フランス編 スタッフブログ

欧州取材のブログも今回が最終回。
「いつまでそんなネタ引っ張ってんだ?」という声も聞く。
タカハシの編集記者仕事は傍からから見ると、しょっちゅう取材で出歩いているように見えると思うけど、意外とネタは少ない地味な生活。
そりゃぁ海外旅行ともなれば、ここぞとばかり、ネタを溜め込んでみたものの、筆は遅いほうなので、秋の気配を感じる今日まで来ちゃったのだ。
前回まではドイツからフランスへ移動し、その後は単独行動をとることになった話。
そのおかげで日本人の常識はと違った常識に気づき、「非常識な日常」を毎日楽しむことになった、というところまで。

そしてル・マン24時間レースの取材もバッチリしてますよ~。という報告と、移動でお世話になったカーナビ「ガーミン」のお話もレポートしている。
さらに、ル・マンではFM横浜で放送中のラジオ番組「ザ・モーターウィークリー」へ、現地からのレポートを送るという大事な仕事もこなしていたのだ。

ラジオ出演するレポーターは、その道のベテラン赤井邦彦さん。
赤井さんの宿泊するホテルへ行き、現地朝の9時、日本時間夕方5時に赤井さんと合流し、電話回線を使って放送するというミッション。
その時の内容はこちらのポッドキャストでお聴きになれます。
「FM横浜は聴けん」という県外・圏外の方でも放送を楽しめるのです。放送には中島一貴選手から番組リスナーに向けてのコメントももらっているので、是非聞いてください、と宣伝。

で、いよいよ最終回の今回は、パリ、ル・マンから一旦離れてトゥールースへ行った話。

クルマをレンタカーのフォードフィエスタからプジョー208の広報車へ変更するためにプジョー・シトロエングループの本社があるパリへ戻る。
レンタカーはシャルルド・ゴールの空港へ返却し、そこから電車でパリにいくことにした。

シャルル・ド・ゴール駅
切符売り場

電車だと30分ほどでパリ北駅まで行けるのだが、切符を買ったり改札を探したりで、ここでも非日常に遭遇。

キタ~!。「よくわからん」の連続。

だが、切符売り場はすぐに分かった。
英語の表示があり、切符売り場だとすぐに合点できたが、券売機は見たこともない格好をしている。石橋を叩いても渡らないタカハシは券売機から少し離れたところに身を置き、「どうやって買うの?」というのを他の旅行者で行動チェック。

券売機はどうやら「タッチパネルで行き先を指定して買う」というのが様子で分かり、レッツトライすることに。
すると、モニターは言語選択からスタート。「ここからかい!」と一人突っ込みをしつつ「英語」を選択し、出てくる質問に答えると先に進む。ドキドキしながらも意外にあっさりと購入できた。値段は£9.75だ。

案内板を見ても良く分からない
殺風景?な電車内。中吊り広告や路線図とかもない

で、改札を抜けプラットフォームに降りると案内板がない。ホームは4本あり、「どこがパリ行きか?」迷う。
ホームにはスーツケースを持ったガイジンがたくさんいて、みなさん、ウロウロ、キョロキョロ。駅員もゼロ。

「どうしたものか」軽く思案。
そこでフランス人っぽい人を見つけて尋ね、その電車がパリへ行くことが分かり、オーケー。
車内は中吊り広告がなく、殺風景だ。
停車駅の音声案内はある。でも日本のようにいろいろアナウンスはしない。
だからフランスでは車掌アナウンスの「ななめ45°」や「中川家礼二」のギャグは絶対生まれない。

フランスの車内放送はシンプルに駅名を言うだけだ。
だけど、これがフランス語なんでよく分からない。駅名の綴りを見るとなんとなく、「そんな発音しているなぁ」程度しか分からない。がしかし、さすがに「パリ」ぐらいは聞き取れるだろうと鷹揚な気持ちでシートに座った。

開放的なパリ北駅。駅舎もかっこいいなぁ
ピンポンダッシュのようにゲートが締まる前に通り抜けようとする旅行者も

 

予想どおりパリ北駅に到着。当たり前か・・。
でも実は、たくさん人が降りるからわかったのだ。「Paris」って言ってたのか?本当に。
それでも間違いなくパリ駅なので、ホームに降り立ち、改札を出る。と思ったら今度は自動改札に引っかかる。

無常にも×の赤いランプと「ブー」っという音もする。周囲の脚光を浴びた一瞬だ。
「あれ?切符はちゃんと買っているのに」と自信を持って再度通過。結果は同じだ。何度やっても締まる。

フッと回りを見渡してみると、改札を出るときに切符を改札機に投入していない光景を発見!
「これか!」と思い、£9.75で買った切符を入れずに通ってみるとゲートは「スッと」開き、あっさり改札の外へ。なんじゃこれ?
「入るときに改札を通ったから、出るときは不要」ということか?でも一律料金じゃないだろうし・・・今でも謎のまま。

シャンゼリゼにあるPSA本社前にて

駅からはタクシーで本社へ向かい、無事プレスカー(広報車)を貸し出ししてもらった。
そしてパリ市内をウロウロしながら撮影し、インプレッションをとり、終日一人試乗会を開催。

お借りしたプジョー208は国内未導入の1.6Lディーゼルターボの6速MTというモデル。インプレッションも掲載しているので、コチラをどうぞ。

翌日、いよいよトゥールーズへの旅行だ。
トゥールーズは旅客機のメーカー「エアバス」の本社がある場所。「できたら工場見学したいなぁ」と思い、知人を通じて日本から申し込みをしておいた。
そのトゥールースへ行くには再び国内線でフライト。オルリー空港からブラニャック空港への1時間半のフライトだ。

かわいいマルチーズが搭乗?
パネルの指示に従いスーツケースも自分で預ける

 

そこでまた、驚愕の事実に遭遇。
オルリー空港の搭乗口に小犬を抱いたご婦人がいる。搭乗口でですよ!
この先は機内に乗り込むだけの、あの待合室です。そこにかわいい小犬を抱いた女性がいるのです。

「まさか、このまま飛行機に乗る?」その真偽はわからないままなのだが、日本では手荷物検査場を通り、搭乗口まで行くにはボーディングパスが無ければ入れない。
フランスでは見送りの人も搭乗口まで行けるのだろうか?個人的にマルチーズ・ラブなので、機内にいても不快ではないが、「これは有りえんだろう」だと思う。きっとお見送りの方なんでしょうね。


さて、無事ブラニャック空港に着き、ホテルにチェックイン。

街のセンターにホテルを取ったのだが、これが結構素敵だった。
「Balcon」というホテルで、廊下はラブホを思わせるようで「妖艶」と形容したくなる。あるいは「淫靡」か。

部屋も四角くない。変形の六角形でコーナーが90度になっていない。
「部屋は四角く掃除をしなさい」なんて教育されているから、四角じゃない部屋なんて「大人はウソをついていたのか?」
こんなところでも「センス」の違いを感じたりして、センスの雨あられに遭遇している心境だ。

ローズタウンとも呼ばれるトゥールースの街

トゥールースの街は「ローズタウン」という別称があるように、ピンク色の町。
建築資材に赤レンガを使っているかららしいが、歴史観たっぷりの街だ。
欧州の国、街は紀元前から侵略との戦いを繰り返してきたという歴史がそこらじゅうにある。
ここも19世紀まで戦争があったようだ。

それでも古い街並みは綺麗に保存されつつ、インターネットも携帯電話も普通に使える。「古いものと新しいものを融合させるのがセンスだ」というフレーズを事ある毎に書いてきたが、またもや同じ思いをしたのだ。

自前のフォアグラも育っているタカハシ・・・
スーパーの食肉売り場

 

夕食。この街ではカモ料理が名物らしい。
となれば、「フォアグラや蜂蜜を使った鴨料理、それにトリュフも・・・」などと算段しながら、知人の知人でエアバス社に勤めるアンネさんと合流した。
もちろん、フォアグラと鴨肉料理を注文し、赤ワインを堪能し、目的達成、ミッションコンプリート!

が、そのディーナーの席で天を仰ぐような大笑いな事件が起きた。
それは日本からオーダーした「工場見学」ができないという事。
「が~ん!」それは・・・。

エアバスのアンネさん。シトロエンDS3のMTが愛車
エアバス本社前で記念撮影

なんでも「翌日は有料の個人向け工場見学は可能だが5万円もする。VIP待遇の見学会だけが実施される」という日で、一般見学はできないというのだ。「庶民の見学はまかりならん」という日にあたってしまったというわけだ。

「そんなこと前から分かってるだろ」と思うが、どうも不定期に実施されているらしい。
確かに日本にいるとき「工場見学は記事にするのか?」という問い合わせがあった。
そのとき「個人的な興味だ」と応えている。だからって・・・・。

真ん中の上串刺しようにピンクで丸い食材はカエルです
切り身のディスプレイ。花びらのように・・・旨そうに見える

そのかわり、翌日は街のスーパーなどトゥールースに暮らす人達の「日常の生活」を実感できる場所を案内してくれた。
これが結構刺激になった。

だってスーパーの駐車場に引かれた駐車枠の大きさがどう見ても、収まらないサイズでペイントされていたり、食材のディスプレイが独創的で、そこにもセンスを感じたりしたからだ。もう理解不能なことがフツーにあるからなのだ。

駐車場の駐車枠は「考えられない」」っすよ、日本人には。
だって軽自動車でも入らないサイズで線が引かれているわけ。
当然、そんなだから線をまたいで駐車しているし、まったく整列なんてしていない。駐車枠に収まらないのだから「てきとー」に停めるしかないでしょう。
これはセンスというより国民性なんだろう。

これから起こることを杞憂し、予定どおりに進めたがる日本人と、予定どおり行かない現実をどう乗り越えるか?そしてそのプロセスを楽しんでしまうという国民性の違いなんだろう。そんなフランス人には、畏敬の念を持ってしまうのだ。「もっと自由にやろうよ日本人!」とでも言いたくなった。

 

ロートレック博物館
セント・セシル大聖堂

その後、アンネさんのドライブするシトロエンDS3に乗せてもらいアルビという街を案内してくれた。
もちろん、マニュアルミッションですよ、アンネ号は。
そして、休みを一日使って案内してくれ、親切さに感謝。あの優しさは日本人の「おもてなし」文化と共通していると思う。

そのアルビは画家ロートレック出身の地で、セント・セシル大聖堂や旧市街の街並みは「アルビの司教都市」として2010年に世界遺産に登録された場所。
「ありゃ、西洋史をもっと勉強しておけば・・」という過去を悔やむ。

 

教会の内部を撮影できる機会は珍しい。セント・セシル大聖堂内部

歴史を知っていれば、もっと感慨深い観光になっただろうし、おそらく二度と来れない場所になるだろうし、なおさらだ。
言葉の不自由、歴史の無知は旅行の魅力は半減させているなぁ。なんて感じたショートトリップなのでした。

翌日、再びル・マンへ戻り、いよいよ決勝レースのスタート。レース取材をして無事帰国。

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