2012-2013年の日本カー・オブ・ザ・イヤーはマツダのCX-5が受賞しました。インポート・カー・オブ・ザ・イヤーはBMWの3シリーズ、そして実行委員会特別賞はトヨタ86/スバルBRZでした。86/BRZはトヨタとスバルの共同開発であるため、2車種とせず、「同じクルマ」という枠で今回の選考は行われました。
30台のノミネートがあり、そのうちの10台を選考委員が選択し、さらにその10台の中からイヤーカーを選択するという順番で決まっていきますが、今回の10台に選ばれた10ベストカーを見てみると、時代が大きく変わったと実感しますね。
まず、10台の中で最大排気量となるのがCX-5の2.2Lで、ほかは全て2.0L以下のモデルになっている。BMW3シリーズもイヴォークも、みんな2.0L以下のエンジンを搭載している。そして、アピールしてきたのがCO2の排出量や省燃費という環境性能の高さが共通しているということ。それは軽自動車のワゴンR/スティングレーでも3つの革新的環境技術を訴えていました。
そして選考委員がチョイスしたのはCX-5でした。多くの意見はディーゼルの良さを褒めていましたね。CX-5はディーゼルが毛嫌いされている国内において、新たなマーケットを開拓した功績は大きいと思います。もちろん、新技術・哲学でもあるスカイアクティブも結構ですけど。そしてこのスカイアクティブDはいまだ、世界で唯一のNOxフィルターを持たずにユーロ6、ポスト新長期規制に対応しているエンジンで、他社では真似できていない技術。いわば世界に誇る最先端のディーゼルということができるから、イヤーカーに相応しい革新技術と市場への影響を与えたモデルだと思います。
BMW3シリーズはプレミアムモデルをチョイスするのはいかがなものか?という意見はありました。つまり、大衆ユーザー向けではなく、富裕層向けがターゲットとなる商品だけに、良くて当たり前という義務を課せられたクラスだから、という見方ですね。しかし、ディーゼル、ハイブリッド、ダウンサイジングという全てがモデルラインアップに勢ぞろいし、しかも全ての性能が抜きん出て高く、しかも走行性能も優れているわけだから、インポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するに値したと思う。
コレに対しレンジローバー・イヴォークは高級ブランドのランドローバー・レンジローバーブランドが500万円を切り、サラリーマンでも購入できる価格で、しかもデザインコンセプトそのままに市販化したというポイントが高いモデルでしたね。
86/BRZは企業の枠組みを超えた協業は評価が高いでしょう。そして何といってもこの不景気の時代にスポーツカーを復活させ、しかも市場もこのモデルによって活性化しました。チューニングカーはドッと86/BRZにシフトしましたしね。かつてのランエボは見る影もないほどハチロクブーム到来です。
日産ノートは日産の最量販モデルのエコカーとして登場しました。スーパーチャージャーという飛び道具を持って現れたのですが、このエンジンは2010年すでに欧州のマイクラ(マーチ)に搭載されているので、新しさという点ではポイントが低かったと思います。
ホンダのN-BOXはホンダ軽復活の第一弾として市場では歓迎され、大きな話題になりました。しかし、ダイハツやスズキが持つマーケットに魅力的な1台を投入したことは高く評価できますが、CX-5やイヴォーク、ハチロクのようなインパクトはないのではと思います。つまり、既存のマーケットへ一石を投じたのか、新規のマーケットを切り開いたかという違いだと思います。
VWのUP!も衝撃です。登場が選考の終盤だったので、評価があまり高くないですが、イヤーカーに相応しい1台でしょう。1.0Lで、輸入車で150万円を切り、衝突安全が標準装備されている。もう150万円前後の軽自動車、スモールカー市場は大混乱です。
シトロエンDS5はデザインです。これだけ独特のデザインを有するシトロエンはさすがです。しかしながら、テクノロジーやマーケットへの影響という点では、あまりポイントが高くないですね。マーケットは販売店の数にも影響されるので、DS5はかなり不利な状況ですが、それでも魅力的な1台であることにはかわりませんね。
ジュリエッタも同じように販売店の数が少ないので国内マーケットへの影響は少ない。ただし50年ぶりに復活したジュリエッタですから、エンスーでなくても懐古主義でなくても価値の高いモデルなのは言うこまでもありません。
ワゴンRは軽自動車の人気トップを快走するモデルで7年ぶりのフルモデルチェンジでしたが、やはり、キープコンセプトの開発というのがポイントで、新しさという点において評価はあまり高くなかったと思います。しかし、販売台数は相変わらず人気ですから、日本の景気を左右する貴重な1台であることはまちがいないですね。
以上が今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを振り返ってみての感想でした。