フォルクスワーゲンがUP!を国内販売しメディア向け試乗会も開催され、そろそろ、記事が各誌面に露出し始めている。そこで以前もあったことなので、ブログに書いてみることにした。
それはAMTの評価。日本人にはなじみが少なく、AMTの運転の仕方があまり知られていないのではないか?という疑問。さまざまな自動車ジャーナリストが記事を書き、さまざまな評価が下されている中、AMT=ASG(VWの呼び方)に対する筋違いな評価を見かける。
たとえば、「シフトアップの時の失速感はいまどきのミッションとしてはレベルが低い」とか「クルマ好きにはあり得ない選択となるミッション」だったり、果ては失敗作であるミッションのごとき表現まで見かける。
そもそも、AMTはオートメーテッド・マニュアルミッションというややこしいネーミングだが、機構的にはマニュアルなのである。ただし、クラッチペダルがなく、変速を自動で行うために慣れ親しんだオートマチックと同じ土俵で評価するからおなかしなことになるのである。
では、AMTとはどんな運転をすればいいのか?というとDモードを選択した場合、シフトアップは自動で行われるが、シフトアップされるのではなく、シフトアップさせるのだ。1速でスタートし、ある程度の速度まで加速したら、マニュアルと同じようスロットルを抜いてあげる。そうすれば、なめらかに自動でセカンドギヤへシフトアップする。もちろん、そこで一旦クラッチが自動で切れるわけだから、当然失速する。これはマニュアルの宿命だ。
また、マニュアルモードを選択したときも、同じようにシフトチェンジするたびごとにアクセルを戻してやれば、滑らかにチェンジできる。ここで、AT車とおなじようにアクセルを踏みっぱなしにするから、減速感を感じるのだ。機構を理解すれば、その運転方法がそもそもコツを知らない人の運転方法ということだ。もちろん、ダウンシフトをするときも同じで、馴れてくれば、クラッチペダルはなくてもフィールアンドトゥができる。でも、いまどきコツがいるクルマというのはどうよ?という疑問を投げる人もいるだろうが。
UP!のDモードはかなり、エコ運転モードに設定されているようで、確かにレスポンスは鈍い。アクセルを踏んでもグッと加速することがなく、ワンテンポ遅れるのだ。それが気になるようであれば、マニュアルを積極的に使えば、MT車と同じように走れるわけで、決してデキの悪いミッションでもなんでもないのだ。
それより、欧州では、特にイタリアやフランスなどラテン系の国ではこのAMTが好まれる傾向が強いらしく、ATは運転できないとまで言う人もいるほどで「クルマは操作するもの」という概念の浸透度の深さを思い知る。さらに、AMTには操作感があるからいい、という評価が一般的であるから、ATとはそもそも論が食い違っているということも理解できる。
もっとも、免許を取る人口のうち80%近くがAT免許だというから、もはや、マニュアルだと思って操作してください、という意味すら理解されないわけで、このユーザーに訴求できるのか?という点では疑問が残るところだ。