【言いたい放題】第3回 JAIA インポートカーオールラインアップ試乗 際立った個性を持っているのが輸入車

大磯プリンスで行なわれたインポートカーの試乗会は、比較的小さいクルマからスポーツカーまでそれこそオールあるわけですが、Auto Proveとしてあらかじめ予約してあったクルマ達に試乗させていただきました。

取材前日、大磯周辺は雪に見舞われ、朝イチは雪国のような風景の中試乗が開始された
取材前日、大磯周辺は雪に見舞われ、朝イチは雪国のような風景の中試乗が開始された

JAIA(日本自動車輸入組合)の試乗会に関して私は今までニュースや専門誌でしか見たことがなく、初めての参加でしたが、実際に来てみると試乗車も多く、媒体やモータージャーナリストの方々も多く参加されていて、開始時間の8時にはもう既にいっぱいの人で熱気がすごかったです。輸入車は盛り上がっています。

熱気溢れる試乗会。受付でキーを受け取るために媒体、ジャーナリストが群がる
熱気溢れる試乗会。受付でキーを受け取るために媒体、ジャーナリストが群がる

 

そんな中で私は以前ホンダで長く新車開発していたとはいえ、今は駆け出しです。Auto Proveメンバーにインポーターの広報の方々やジャーナリストの方々を紹介していただきました。皆さん心温かく迎えていただきありがたかったです。

さて、試乗したのは、アウディA3、アルファロメオMITO、アバルト500、メルセデス・ベンツA180,、ボルボV40、フォルクスワーゲン ゴルフ TSI Highlineの6車種でした。段取りが良くわかっていない私はもっといろいろなクルマに乗りたかったのですが、これの台数だけでも丸一日かかってしまいました。しかし、これら全部FFなんですよね。メルセデスまでもが。今後BMWの1シリーズもFFになると聞いています。

アウディA3セダン
プレミアムコンパクトセダンのアウディA3。1.8Lクワトロに試乗。他に1.4LのFFモデルもあり、そちらはシリンダーオンデマンドの2気筒走行もする
アウディA3
全長は短く4465㎜だが、幅は1795㎜あり日本ではベストマッチするサイズ

 

FFを今時、話題にする人はいないかも知れませんが、FFってやっぱり一言で言うと癖があって、それを技術で克服してきた歴史があって、クルマ文化の進んだヨーロッパでは、その走行性能ではFFの癖を抑えながらもFFをポジティブに考えているクルマ、またできるだけFFの癖を抑えていこうとしているクルマがいろいろでてきており、今回の試乗車の中でもそれが顕著に現れていました。

A3リヤ
極端にクーペルックにしていないため、後席のヘッドクリアランスもしっかりあり、セダンとしての機能を果たす
インテリアも上質でプレミアム感が高い。写真だと少しあっさりした感じだが、実際はリッチ
インテリアも上質でプレミアム感が高い。写真だと少しあっさりした感じだが、実際はリッチ

 

 

ヨーロッパの人達は、だいたい「他人と同じ」というよりも「私はこうだ」と自分の考え、個性を大切にする傾向があると言われていますよね。事実、ドイツで民衆の車はフォルクスワーゲン、高級車はメルセデス・ベンツ、スポーティなBMW、リアルスポーツのポルシェなど、自分はこうだという個性を発信していますね。

また、意識的に個性を付けてお客さんに認めていただいてナンボ的なとこもありますしね。VWグループなんかは多くのブランドを抱えていますが、VW、アウディ、シュコダ、セアト、ベントレー、ランボルギーニまであって、それぞれが個性の塊りです。かぶったクルマは造りませんね。

運転を楽しむ繁浩太郎さん。自称ややヤンキーポジションのドライビングスタイル
運転を楽しむ繁浩太郎さん。自称ややヤンキーポジションのドライビングスタイル

だから「一つのブランド(会社)=一つのコンセプトのクルマ」となるんだと思います。デザインもグレードの間で統一感を持たせていますよね。また、グレード名も数字で表されたりしています。あれは、大きさの違いだけですよと言っているんですよね、きっと。

一方、日本では会社が違っても同じようなコンセプトのクルマを造っているような気がします。なぜでしょうか? それは新車を企画・開発する時に、どの会社もマーケティングでマーケットのボリューム層はここ、お客さんの好みはこう、という同じ結果でもって商品企画し投入するからでしょう。またターゲットユーザー自体もそんなに各社間の個性を重視しない傾向にあるとも思います。

基本、メーカーとしては、数売れないとコストが安くできないし、会社の収益も少ない、となるのでなるべくお客さんが多く居るところに、商品投入となるんですね。だから、結果的に異なる会社から似たような商品が出てくるようになる。

例えばステップワゴンとセレナ・・・作るコンセプト、お客さんが同じだからこれらは似ているし、TVコマーシャルまで似ていましたよね。

しかし、なんといってもそういうのを許しているというか、それで良いと思っている日本人の価値観もあると思います。私はTV自体をあんまり見ませんが、TVの朝のワイドショーなども、どのチャンネルでも同じようなモノをやっていますよね。つまり日本のお客さんは均一化しているということで、やっぱり島国だから?だから、同じ内容のTVをどのチャンネルでもやるのかなと。

確かにこのような個性的なモデルは国産にはない。「アバルト500が楽しいと」ラジオ番組ザ・モーターウィークリーDJの藤本えみりさん
確かにこのような個性的なモデルは国産にはない。「アバルト500が楽しいと」ラジオ番組ザ・モーターウィークリーDJの藤本えみりさん

確かに子供の教育も会社でも個性のある人は「はみ出てる人」として押し戻されますよね、押し戻してもまた出てくる人は別途隔離されたりとか・・・全くクルマの話でなくなってきましたが(笑)、言いたいのは、こういう背景まで考えるとインポート車と日本車をより理解できるのではと思ったわけです。

インポートカーの試乗会で、それぞれの国民特性で日本車の造り方とインポートカーの造り方では元から異なるなと、それは良い悪いではなくて、個性なんだと。私はそれをすごく感じました。しかし、この話は実は結構深くて、また今度ゆっくりやりましょう。

◆インプレッション
さて、試乗させてもらった結果の「個性」ですが・・・なんといってもアルファロメオMITOはFFの良さというか癖というか、それをおもいっきり出していて、とにかくスポーティ。着座姿勢もかなりアップライトに座ることを強要され、そういうふうに座ってハンドルを握って走ると、これはホントFFスポーティ。デザインは皆さんも認めるでしょうが全くのイタリアンデザインで、血が沸き肉が騒ぐ情熱のデザインです。

「このアングルからのMitoは個性的だよなぁ」と熱心に撮影する繁さん
「このアングルからのMitoは個性的だよなぁ」と熱心に携帯で撮影する繁さん

次にやはりFFスポーティなのはアバルト500でした。このクルマだけはMT仕様で、懐かしい感じがしました。なにせ私の若い頃はMTしかなく、そのグリップの握り方、シフトアップダウンする時の手の動かし方、ガバッと握るとカッコ悪い、かといって指先だけでは、汚いもの触っているみたいだとか・・どういう風に動かせばカッコいいか、つまり横の女性にモテるかというのが価値観で、何回も何回もかっこいいシフト操作の練習をしました。(笑)

そのせいかな、その頃から私、ヤンキードラポジになったような気がします。シートバック倒して腕を伸ばしてシフトする方がカッコいいというのがその時の私の結論。(爆笑)

いろんなクルマに乗れて楽しい~と、満面の笑みの繁浩太郎さん
いろんなクルマに乗れて楽しい~と、満面の笑み

 

さて、これらイタリアンとの対極が、ゴルフとA3ですね。これらは、ホントFFを意識せずに素直に走ります。ゴルフ7はCOTY(日本カー・オブ・ザ・イヤー)でトップでしたが、これはクルマが良いというだけでなく、「ここまでできるんだ」と、それに「これからこれが基準になるんだ」と、その道のプロ達が舌を巻いた結果かなと私は感じました。つまりゴルフ7はCセグメントの新しい基準となったと思います。

ゴルフは個性的な味というより、誰からも信頼される、レベルの高いモデル
ゴルフは個性的な味というより、誰からも信頼される、レベルの高いモデル

さて、A3ですがコレはまたそのゴルフよりさらにシットリとしたプレミアムな走りで、私はこちらに舌を巻きました。アウディのブランドイメージは世界で急上昇していますが、ブランド作りにお客さんとのコミュニケーションも大切です。ですが、ファクト(商品)がやはり一番効いているのだなと実感しました。デザインは勿論イタリアンほど情熱的ではなく、シンプルな感じがしますが、面の質感が高くて「高級品」の雰囲気を出しています。

ということで、ヨーロッパブランドは古くからのイメージ通りに今でも存在し続けていることに安心感と、そうだよなと一人で納得してしまいました。これが、「ブランド」なんですよね。

ボルボV40
ボルボV40。「硬いクルマ」でした(笑)談:繁

さて、後の2台、メルセデス A180とボルボV40はどうなんでしょうか?ボルボは昔からのブランドイメージでいくと「安全」ですよね、だからだと思うのですがボルボ V40は乗ってみて「硬いクルマ」でした。(笑)乗った感じ「シッカリ」しているということです。これは「安心」、「安全」につながりますね。また俊敏なハンドリングで個性付けしているようです。

ボルボV40

 

メルセデスA180はまだこれからのブランドという気がします。Best or Nothingのベンツがこの領域でどうやってそれを表現するのか? グリルはデカくして「俺はベンツだぞ」といっているFRデザイン、つまり顔はブランド表現できていると思いますが、後ろに回ると寂しいですね。走りも「FFベンツって何? どこがBEST?」が表現されていないように感じました。小さい車=安い車でのBest or Nothingのブランドは難しいのかな?でも、数が欲しい・・・「メーカーの性」ですね。こうやって見ていると、ブランドを今までしっかりと表現してきたBMWの1シリーズのFFがどうなってくるか楽しみです。スローガンの「駆け抜ける喜び」をどう表現するか?

まとめとしては、インポートカーは近年その販売はご存知のように伸びてきています。日本では輸入車=高級車=高額車というブランドイメージですが、この日私が試乗したCセグメントあたりのクルマは以前より相当お安くなってきていると思います。お安くなってブランドイメージは高級車なら、これはイケますよね。

初期品質、耐久品質なども良くなってきていますし、いろいろなサービスも充実してきていると聞いています。また、地方展開にも力をいれてきているようです。なにより、輸入車には際立った「個性」があります。昔、流行ったチョイワルオヤジなんかは、絶対イタリアンがお似合いですよね。

個性のある輸入車に、自分の個性と合わせてあるいはこうなりたいと思って乗ると、シャレオツ生活がおくれるのではないでしょうか? きっと楽しく、有意義なイキイキとした生活ですね。

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