【三菱】タイ生産の新型ミラージュ、コンパクトカーの燃費チャンピオンになるか

新型ミラージュの画像
バンコク・モーターショーでデビューした新型ミラージュ

三菱自動車は2012年3月28日から、タイで新型ミラージュの発売を開始した。新型ミラージュは、3月末に開催されたバンコク・モーターショーで正式デビューを果たし、4月上旬からタイのミツビシモーターズ・タイランドはラムチャバン工場内の第3工場において本格生産体制が軌道に乗っている。

第3工場での生産能力は年産46万台で、ここから日本を始め世界各地に向け出荷される。つまり三菱にとってタイは、日本と同等の生産拠点であり、輸出拠点とされているのだ。このため、日本と同レベルの品質を確保するために、工場での最終検査には日本人の検査員が駐在して担当し、出荷前に全車全数を検査するほか、現地検査員の指導も実施している。

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新型ミラージュのテーマカラーのひとつ、レモネードイエローメタリック。色調は明るい色をメインとした全8色がラインアップされる

新型ミラージュの原型となる「コンセプト・グローバルスモール」がベールを脱いだのは2011年3月のジュネーブショーであった。ジュネーブショーでの、コンセプト・グローバルスモールは、1.0〜1.2Lのエンジンを搭載し、トランスミッションは副変速機付きCVT、アイドルストップ、ブレーキエネルギー回生を備え、ボディを徹底的に軽量化することで、CO2排出量は90g/km台の半ばを目標とすることが発表された。

バンコクモーターショーで発表されたミラージュのデザインは、優しい表情と張りのある面を持ったシンプルな造形としている。しかし空力はしっかり考慮され、フロントグリルの開口面積は必要最小限とし、フロントバンパーの左右下部にエアダム形状を設け、ルーフ後端を2段階に落とし込むことで空気の流れを最適化するなどして空気抵抗を低減している。2ボックス形状のコンパクトカーであるが空力的に細部まで熟成している。

また上級グレードはルーフ・スポイラーも装備するなどし、クラストップレベルの低Cd値を実現している。こうした空力ボディと最新のパワートレーンにより、クラストップの低燃費・低CO2排出量を実現し、タイでのエコカー認定を受けている。

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↑クラストップレベルのエアロダイナミックスを実現するため細部まで空力処理が煮詰められた

ボディサイズは全長3710mm×全幅1665mm×全高1490mm、ホイールベース2450mmで、コンパクトカーならではの回転半径4.4mという取り回しの良さを追求したサイズにまとめている。従来のコンパクトカーよりもひと回り小柄なボディサイズになる。

室内は足元にゆとりがあり、大人5人に十分な居住空間と日常生活で不足のない荷室容量をしっかりと確保した高効率パッケージを採用。視界では、Aピラーを細くし、ショルダーラインを下げることで斜め前方視界を見やすくし、ボンネット両端を盛り上げることで運転席からの車幅を把握しやすくするなど細かな配慮が取り入れてある。

また乗員の使い勝手を重視し、助手席グローブボックス、グローブボックスアッパートレイ、コンソールトレイ、フロントドアポケット、前席用カップホルダー、後席用カップホルダーなどを配置。ラゲッジルームのプライバシーを守るテールゲート開閉連動式のリヤシェルフ(GLを除く)も装備されている。

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インテリアはブラックで、フロントシートは乗員を包み込む柔らかい形状としたヘッドレスト別体型シート(GLのみはハイバックシート)で、リヤシートは6:4の分割式ベンチシート(GLはベンチシート)を採用している。なお運転席はGLを除きハイトアジャスターも装備する。シート生地は水玉模様をエンボス加工したブラックのニット製で、若々しい雰囲気だ。

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インテリアはブラックを基調にしんがら、ソフト感のあるシンプルな造形

ボディは構造の最適化と高張力鋼板の大幅な採用拡大により、従来のコルトに比べて7%の軽量化を実現している。もちろん全方位からの衝突の衝撃を吸収・分散させる衝撃安全強化ボディ「RISE」のコンセプトを取り入れて高い安全性を実現したという。

プラットフォーム部分は440MPa級の高張力鋼板、ピラー部は590MPa級、フロアの骨格やサイドシルには980MPa級の超高張力鋼板を採用し、軽量化とキャビン全体の強度・剛性向上の両立をはかっている。

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フロア,A/Bピラー部に高張力鋼板を採用し軽量化とキャビンの強度、剛性をアップ

エンジンは、ヨーロッパ向けモデルのコルトに搭載されている3B型と呼ばれる3気筒DOHC・1.1Lエンジンの大幅改良版だ。これまでの3B型エンジンは圧縮比が10.5、ボア×ストロークは75mm×84.8mm、排気量1124cc、出力は75ps/100Nmだった。しかし新型ミラージュ用は「3A92型MIVEC」と命名され、排気量をアップして1193cc、ボア×ストロークは75mm×90mm。軽量化、低フリクション化を徹底した、ほぼ新設計のエンジンとなっている。もちろん可変バルブタイミング機構も採用している。絞り出される出力は78ps/6000rpm、最大トルク100Nm/4000rpmで、フラットなトルク特性としているのが特徴だ。

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トランスミッションは5速MTとINVECS-III・CVT(JATCO製の副変速比付き)をラインアップした。1.2LエンジンとCVTの組み合わせで燃費は22.0km/L(ヨーロッパ計測モード)を達成している。なお日本に導入されるミラージュは、燃費チャンピオンを狙い新開発の1.0Lエンジンを搭載し、CVTと組み合わせている。さらにアイドルストップ、ブレーキエネルギー回生システムを装備している。日本市場においても燃費チャンピオンとなるのか注目される。

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副変速機付きのCVTを採用することで広い変速比幅を実現

サスペンションは定番ともいえるフロントにマクファーソンストラット式、リヤにトーションビーム式を採用。素直で安心感ある操縦安定性を実現するとともに、しなやか感のある乗り心地のよさを生み出しているという。

パワーステアリングはコラム式電動パワーステアリングを採用。車庫入れや狭い場所などでは軽い操舵力で切り返しができ、女性にも取り回しのしやすい設定にしている。

ブレーキは、フロントが13インチのベンチレーテッドディスク、リヤはリーディングトレーリング式ドラムブレーキ(7インチ)を採用。ABSを標準装備(「GL」を除く)とし、多人数乗車や荷物を積載した場合に後輪の制動力を高めて制動バランスを適正化させるEBDも採用(「GL」を除く)している。タイヤは165/65R14の転がり抵抗を低減したタイヤを装着し低燃費化を狙っている。

なお現時点ではタイで発売されている新型ミラージュの紹介にとどまるが、新開発の1.0Lエンジンを搭載した日本仕様はどんなサプライズがあるか? 燃費はクラストップに躍り出るのか? など新型ミラージュは日本のコンパクトカー市場を盛り上げる1台となりそうだ。

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新型ミラージュ・タイ仕様の試乗レポート

三菱自動車公式サイト

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