トヨタは2020年10月13日、アサヒグループホールディングス、西濃運輸、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸、日野自動車と燃料電池大型トラックの走行実証を行なうことに合意したと発表しました。
これは、国内商用車全体でCO2排出量の約7割を占める、大型トラックでのCO2排出削減を目指すための実証実験です。燃料電池大型トラックはトヨタと日野が共同で開発し、アサヒグループ、NEXT Logistics Japan、西濃運輸、ヤマト運輸、トヨタの5社が、2022年春頃から各社の物流業務で使用しながら走行実証を開始する計画です。
幹線輸送に使われる大型トラックには、十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給できることが求められます。その電動化においては、エネルギー密度の高い水素を燃料とする燃料電池システムが有効であると考えられ、今回開発する燃料電池大型トラックは、航続距離の目標を約600kmとし、環境性能と商用車としての実用性の両立を目指しています。
走行実証に参加する各社は、地球環境問題を重要な経営課題のひとつとして位置付け、製造工程の省エネルギー化や物流業務での環境負荷の低減など、さまざまな活動を進めており、今後は燃料電池大型トラックの早期実用化に向けた取り組みを加速させるとしています。
また、この実証実験は経済産業省、国立研究開発法人「新エネルギー 産業技術総合開発機構(NEDO)」による水素エネルギー活用政策を反映したものでもあります。経済産業省、NEDOは、水素に関しエネルギー供給構造の多様化とともに、大幅な低炭素化を実現するポテンシャルを持つと位置付け、エネルギー転換、脱炭素化のキーテクノロジーとしています。
そして2020年10月14日には、3回目となる「水素閣僚会議」を東京で開催し、世界各地の国、機関が参加し、新型コロナウイルス感染拡大の状況下でも世界の脱炭素化に向けた歩みを止めることなく、水素社会構築に向けた取組を確認しています。
このように水素エネルギーの活用は国策として、また世界での脱CO2のためのキーテクノロジーと位置付けられ、長期的な展望のもとで実証実験が行なわれることになっています。