横浜ゴムは2026年4月30日、シミュレーション(FEM:有限要素法)とAI技術を融合したタイヤの金型設計支援システムを独自開発したと発表した。
これにより、技術者の知識や経験を補完する情報(金型設計因子の変更に伴うタイヤ特性の変化傾向)を、膨大な仮想実験に基づいて取得可能となる。これにより、経験の浅い技術者でも金型設計が容易になり、開発スピードの向上やコスト削減に加え、手戻りの少ない設計が実現する。さらに、金型設計因子とタイヤ特性の関係を多角的に把握できることで、新たな気づきや発想が促され、より高性能な商品の開発が期待できるとしている。

今回のシステムは、横浜ゴムが2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」に基づき、開発プロセスのさらなる革新を目的として開発された。タイヤ性能を左右する金型設計では、従来、設計因子とタイヤ特性の関係を把握するために試作と評価を繰り返す必要があり、多大な時間とコストを要していた。また、熟練技術者の知見への依存度が高く、設計精度や所要時間に個人差が生じるという課題もあった。
今回開発したシステムは、これらの課題解決に向けて「シミュレーションの自動化」と「AIによる予測・可視化」を組み合わせたものだ。まず、金型形状を変化させた多数のタイヤFEMモデルを自動生成し、仮想空間上でタイヤ特性の計算を一括実行する。
次に、その計算結果を学習データとして、金型設計因子とタイヤ特性の関係を瞬時に予測するAIモデル(サロゲートモデル)を構築する。このAIモデルに、SHAP(SHapley Additive exPlanations)やPDP(Partial Dependence Plot)などのXAI(eXplainable AI=説明可能なAI)技術を適用。金型設計因子がタイヤ特性に与える影響を定量的に可視化することで、技術者は「どの設計因子をどの程度変更すれば目標特性を達成できるか」という明確な指針を容易に得ることができる。
横浜ゴムはこれまで、タイヤ特性値予測システム(2021年)や設計支援システム(2024年)を通じて、技術者が設計指針を容易に得られる環境を整備してきた。今回の金型設計支援システムは、それに続く「HAICoLab」に基づく取り組みである。今後も開発環境のさらなる高度化を進めることで、革新的なタイヤ開発を加速していくとしている。













