ヨコハマタイヤ スタッドレスでもウェット性能がいいアイスガード6

スタッドレスタイヤに求められる性能には、氷上、雪上、耐摩耗性はもちろんだが、ウェット性能も大切だ。一般的に誤解が多いのがウェット性能に関し、「雪上、氷上で効くから雨でも大丈夫だ」という誤解だ。タイヤと接する路面、雪面を考えると求められる性能が違うことが理解できると思う。今回は進化したヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤ「iceGUARD6(アイスガード シックス)」のウェット性能にスポットを当ててみよう。

アイスガード6は氷上だけでなく、ウェットでの性能も向上した
アイスガード6は氷上だけでなく、ウェットでの性能も向上した

前モデルのiceGUARD5プラスと比較して、試乗すると感じるのはステアリングの初期応答が良くなったことがある。微小舵に対する反応が良くなり夏タイヤに近づいた印象だ。その理由にはさまざまな技術投入が影響しているのだが、分かりやすいところではブロック剛性のアップがある。

この反応の良さは、ウェットでもいい方向で安心感につながる。つまり、しっかり感としてドライバーには伝わってくるからだ。もちろん、排水性能が向上していることも大きな理由だ。ではなぜ、ドライバーはそう感じるのか具体的に見てみよう。

最初にメーカーの試験結果をお伝えすると、ウェット路面における制動距離はiceGUARD5プラスよりiceGUARD 6は5%短縮しているという結果がある。ステアリングを握っての安心感はこうしたデータからも裏付けられているのが分かる。

非対称のトレッドパターンに特徴がある
非対称のトレッドパターンに特徴がある

その技術として、iceGUARD6には非対称パターンのトレッドデザインがポイントになる。その開発プロセスの説明があったのでお伝えすると、ベースはiceGUARD5プラスで、そのタイヤに接地面積、溝、サイプエッジを変えた試験タイヤをつくり、テストを繰り返すという方法だ。
パターン技術

求める性能は氷上性能とウェット制動の両立。そのポイントが接地面と溝エッジ、サイプエッジを増やすことになったが、ブロック剛性の低下という背反要素も顔を出してくる。こうした要因を含めテストを繰り返した結果が、非対称パターンの採用であり、エッジは24%、接地面積も8%増やすことでウェット制動が5%短縮につながっているということなのだ。

温暖化や融雪技術の発達もあり、冬でもウェット路面になることが増えた
温暖化や融雪技術の発達もあり、冬でもウェット路面になることが増えた

では、もう少し詳しく見てみよう。
タイヤのイン側は凍結路面やウェット路面での接地性を高めるデザインとし、アウト側は雪路面、ウェット路面でのグリップ力を向上させるデザインというのが基本的なものだ。

イン側のパターンには「パワーコンタクトリブ」を採用し、幅広のリブ部で十分な接地面積を確保しつつ、ハの字形状のサイプ(細溝)を組み合わせることで、さまざまな方向でエッジ効果を生み、グリップ力を発生させている。

そして氷上での性能を高めるために、従来は、センターのブロックに、トリプルピラミッドディンプルサイプを採用していた。トリプルピラミッドディンプルサイプはサイプが互いに支え合い、ブロックの倒れ込みを防いでいた。その結果、剛性が高くなる効果を発揮していが、実はこのサイプは、ウェット路面でも高い効果を発揮していることもテストにより掴めた。
3Dサイプ

そして、iceGUARD 6ではそのサイプが「クワトロピラミッドディンプルサイプ」に進化し、3段から4段の立体切り込みサイプになった。これによりブロックの剛性がさらに高くなり、さらなる排水性を確保したというわけだ。

マイクログルーブでウェット性能を向上させている
マイクログルーブでウェット性能を向上させている

もうひとつ投入している技術は、トレッドのブロック部の表面に斜め方向、トレッドの左右端部に横方向の「マイクログルーブ」とは呼ばれる極めて微細な溝も切られている。これによりウェット路面での排水効果とエッジ効果が得られようにしている。
ヨコハマタイヤ アイスガード6 マイクログルーブ

そして、これらのパターン開発と同時にコンパウンド開発も同時に行われているが、シリカの多量配合と分散性の向上ができたこととなどで「プレミアム吸水ゴム」が完成し、要求性能に応えることができたわけだ。

ウェット路面での安心感は、言うまでもないが路面との接地性が高く、排水性に優れていればドライバーは、より安心する。近年、雪国においても増えてきたウェット路面。融雪剤、除雪作業などの進化、向上によりウェット状態が多くなっていると感じていると思う。そうした路面に対し、ドイラバーは、初期応答の良さを感じ、ウェットでの安心感につながっているのは、これらの材料の開発とパターン技術による性能向上によってiceGUARD6はウェットでも安心感のある走りができるというわけだ。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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