2012年11月16日、横浜ゴムはグローバル・フラッグシップタイヤと位置付けるハイパワー・プレミアムカー向けタイヤとして、「ADVAN Sport」(V103)の後継モデルとなる「ADVAN Sport V105」を2013年2月から発売すると発表した。発売サイズはすでに新車装着されている10サイズを含め205/55R16 91V〜295/30ZR19の全33サイズで、順次サイズ拡大していく予定だ。価格は今後発表する予定。
今回発表された「ADVAN Sport V105」は、より高速に、よ快適にというハイパワーのプレミアムカーのテーマに応えるため、メルセデス・ベンツ、アウディ、ポルシェ、ベントレーなど多くのプレミアムカーに採用されてきた「ADVAN Sport」(V103)のさらなる進化を目指して開発されたタイヤだ。
そのため、過酷なテストフィールドとして知られるニュルブルクリンクを開発・研究の本拠地とし、ヨーロッパの自動車メーカーと共同で開発を行ってきた。こうした本格的な開発体制の中で鍛え上げた「ADVAN Sport V105」は、従来の「ADVAN Sport」(V103)を凌ぐ性能を発揮するとともに、優れた快適性や安全性を併せ持つ高次元でのトータルバランスを実現したという。
「ADVAN Sport V105」は構造、トレッドパターン、コンパウンドなどで全面的な見直しをしている。構造は、世界のモータースポーツへの参戦の中で培った技術を応用し、操縦安定性を高める「マトリックス・ボディ・プライ」を新開発するとともに、各パーツの材料や構造を精密にチューニングしている。
剛性を維持しながらタイヤ重量を軽量化し、より俊敏なハンドリングと快適な乗心地を両立。マトリックス・ボディ・プライは、斜めに角度の付いたカーカスプライを、トレッド付近までターンアップ。重なる部分のプライを交差させることで、周方向の剛性を向上させる役割を持っている。乗心地を損なうことなく、ステアリングの正確性を向上させ、パワーを確実に路面に伝えることができるためにドライ性能の向上にも役立っている。
パターンはアウト側でドライ性能、イン側でウェット性能を高めた専用の非対称・非方向性トレッドパターンに、圧倒的なグリップ力を追求した新コンパウンドとブロックの接地圧をきめ細かくコントロールする新開発「マウンド・プロファイル」などの相乗効果により、かつてない強力なドライとウェットグリップを生み出す。またトレッドパターンのイン側とアウト側に施した「アシンメトリー・ピッチ・バリエーション」は優れた静粛性の実現を果たしている。
コンパウンドはウエットグリップを高めるためにマイクロシリカを増量し、初採用となるシリカ分散剤を配合。シリカ分散剤は多量に配合したシリカを強力に拡散・均一化させることができる。またシリカとの化学結合力を強化する高反応ポリマーを採用している。
転がり抵抗を犠牲にすることなくウェットグリップを高めるポリマーと、ゴムの耐摩耗性を向上させるポリマー、といった特性の異なる3種類の高分子量ポリマーを組み合わせて採用。ポリマーのブレンド比率の最適化により、性能限界の向上を追求した。
さらにオレンジオイルを採用し、タイヤと路面の間に生じるミクロレベルの微細な凹凸対してゴムをしなやかにすることで、路面への追従性を高め、グリップ性能を向上している。なお「ADVAN Sport V105」は、すでに共同開発メーカーが販売するプレミアムカーに標準装着が開始されている。