ヤマハ、完成検査時の排出ガス抜取検査に関しての不正を報告

ヤマハ発動機は、2018年7月9日付けの国土交通省からの報告要請を受け、指定自動車の完成検査工程に属する排出ガスの抜取検査に関して社内調査を行った結果、「道路運送車両法 保安基準の細目を定める告示」が定める運転速度の許容される逸脱時間を超えた(トレースエラー)測定結果を除外せず、有効な測定として処理したケースが7件存在していたことが判明したことを発表した。

これはスバルおよび日産自動車スバル及び日産自動車の燃費及び排出ガスの抜取検査に係る不正を受け、国土交通省からの調査および結果報告の要請を受けてのもので、ヤマハ発動機以外にもスズキ、マツダでの不正が報告されている。
※参考記事:
 スズキ、マツダ及びヤマハ発動機で燃費・排出ガスの抜取検査で不正
 スズキ、燃費・排出ガスの抜取検査結果で約6,400台に不正 対象車両の約50%

今回のヤマハ発動機での調査では、トレースエラーを有効とした事案が335台中7台あったが判明している。なお、ヤマハ発動機ではトレースエラー以外の測定環境条件の逸脱およびデータ書き換えはなく、当該7件の測定結果を除外して再検証を行い、保安基準に適合していることを確認したとしている。

ヤマハ発動機によると不適切処理が生じた原因は、トレースエラーに関して検査現場における作業標準等に不備があったこと、および測定結果の有効性を検証する仕組みが不充分であったことによるものとしており、再発防止策として、
・測定後にトレースエラーの有無を検証する手順を追加し、測定結果の有効性を二重に判定するプロセスを定める(すでに運用開始)
・作業標準等の見直しを行う
といった施策をあげている。

【ヤマハ発動機による燃費及び排出ガスの抜取検査における不正事案に関する調査報告】

1.燃費及び排出ガスの抜取検査における不正事案の有無
・事案の有無:
モード排出ガスの測定結果を検証したところ、「道路運送車両法 保安基準の細目を定める告示」が定める運転速度の許容される逸脱時間を超えた(「トレースエラー」)測定結果を除外せず、有効な測定として処理したケースが存在していたことが判明。

2.調査対象工場、調査対象期間、調査方法
・調査対象工場:
ヤマハ発動機本社工場
・調査方法:
完成検査にかかわる現在の全検査員にヒアリングを行い、検査の条件を逸脱したり、測定データを書き換える等の不適切な行為の有無について確認。
測定時のログデータが残っていた平成28年1月〜平成30年7月の期間について、モード排出ガスの測定が技術基準で定められた測定条件と合致しているか確認。また、検査に用いる設備のチェックシート等を用い、当該測定条件から逸脱がないか確認。
検査成績表は、弊社保管期間である5年間分(平成25年7月〜平成30年7月)について書き換えの痕跡がないか確認。また、測定機から印刷されたデータを手入力等して検査成績表を作成するものについては、印刷されたデータと作成した検査成績表を比較。

3.調査の結果
・結果及び不正事案等の詳細:
ヒアリングの結果、検査条件の逸脱を認識していた者、またはデータの書き換えを行なったとする者はいなかった。
モード排出ガスの測定結果を検証したところ、トレースエラーした測定結果を除外せず、有効な測定として処理したケースが7件存在していたことが判明した。
ヤマハ発動機では、当該7件の測定結果を除外して再検証を行い、保安基準に適合していることを確認。
検査成績表に書き換えはなく、測定機から印刷されたデータと検査成績表の間で齟齬はなかった。

4.不正防止対策の実施状況
・実施状況:
排出ガスの測定後、許容された逸脱時間を超えていないか、現場リーダ及び監督者が、再確認した上で、有効な測定結果とするようにした。
測定時にトレースエラーが起きた場合、測定機が自動で判定して測定を中止するなど、人に代わりシステムが処理できないか、またシステム的に書き換えできない構造とならないか測定機メーカと検討。
また、検査員の再教育・技量の維持向上を図る。

ヤマハ発動機 公式サイト
ヤマハ 関連情報

ページのトップに戻る