グローバル・サプライヤーの「ヴァレオ」は2024年4月22日、電動モビリティへの新たな第1歩としてパワー部門を新設した。
これは電動化市場の期待に対し、より適切に対応し競争力と財務状況を強化するために、サーマル(温度コントロール)事業とパワートレイン事業をひとつの組織に統合した新部門だ。
モビリティにはパワーが必要であり、電動化の加速には車両の航続距離、性能、快適性を向上させるパワートレインと熱管理システムが不可欠。ヴァレオ・パワー部門は、7つのリージョナル・オペレーションからなる無駄のない組織構造を導入する。
また同時にヴァレオのコンフォート&ドライビングアシスタンス事業グループは、ブレイン部門として再編される。
今後はソフトウェアで定義されるSDV車両、先進運転支援システム (ADAS) が加速し、それらがキャビン内で新たな体験を生み出すために進化している。これら全てには、ソフトウェアと、車両の「頭脳」のように機能する強力なコンピューター・ユニットが不可欠であり、それらをブレイン部門が担当する。
さらに従来のビジビリティ事業グループはライト部門に統合される。この部門は、ワイパーとセンサー・クリーニング・システム、照明システムを統合したもので電気自動車を始め先進的な車両は照明ライト類のデザイン、機能、パーソナライゼーションのために開発を行なう。
■2024北京モーターショー
ヴァレオは2024年に中国進出30周年を迎える。グ ルー プは1994年に最初の拠点を開設し、 現在は35ヶ所の生産拠点と14ヶ所の研究開発センターを構え、4500人の研究エンジニア、1万8000人以上の従業員を擁している。
過去30年に渡り中国の自動車産業の発展をサポートした結果、現在の中国はヴァレオの事業にとって最大規模の国となっており、グループの売上の17%を締めている。
ヴァレオは既存企業と新興企業の双方と提携しており、2023年の中国におけるグループの受注の50%以上を中国のOEMが占めている。中国市場の急速な成長をサポートするために、ヴァレオは「中国製」から「中国とともに開発」に移行し、現在では中国のOEMと自動車イノベーション・サプライの面で重要なパートナーになってる。
電動化、運転支援システム、スマート照明、ソフトウェアの分野で認められた専門知識と画期的な技術によって中国の顧客をサポート。そため北京モーターショー2024ではヴァレオの最新の技術、製品を出展している。
展示されるのは以下の通り。
・電気自動車、48Vハイブリッド車のテクノロジー:パワートレインとサーマルマネージメントのハードウェアとソフトウェア・ソリューション、さらに多様なモビリティのためのイノベーション。電動2輪車、3輪車、4輪車、充電ステーション、EVの航続距離などを予測・管理するソフトウェア・ソリューションなどをラインアップ。
なお、電気自動車、ハイブリッド車向けの技術では、電動モーター、電流を変換して電動モーターを制御するインバーター、 カップリングと減衰機構を備えたHEV用トランスミッション や、EV用減速機、高電圧バッ テ リーから車載電力網へのエネルギー伝達を安全かつ効率的に行なう車載充電器と変圧器などのソリューションを提供している。
電気自動車用のe-アクスルは「3-in-1 e-アクスル」は、 電動モー ター、800V対応のSiCインバーター、 減速機(オプションでパーキングロック、またはディスコネクト付き)を含むシステムとなっている。
また、電気自動車のバッテリー保温、冷却を行なうスマート・ヒートポンプに加え、自然冷媒(R-744)を使用した第2世代の熱管理システムの開発を進めている。中国の多くのEVにはすでにヴァレオの熱管理システムが搭載されている。
ハイブリッドはヴァレオの48Vシステムが中心で、中国の都市型EVの3輪車、小型4輪車の48V駆動システム、そしてエンジン搭載車の48Vマイルドハイブリッド・システムを幅広くカバーする技術だ。
・ADASと、より高い安全性と快適性を提供し、SDV車両の開発をサポートするあらゆるハードウェアとソフトウェア:センサー群、 新世代のドメイン・ゾーン・コンピューターと、 AIに基づくアルゴリズムにより、これまで以上に優れた安全性と新しい機能を提供し、ユーザーの期待に応える統合ソフトウェアのセットを展示。
・モビリティをより安全に、よりスマートにするビジビリティ・システム:安全性を高め、車両をパーソナライズするインテリアとエクステリアのライティングのハードウェアとソフトウェアのソリューションを展示。
このように幅広い分野をカバーするヴァレオは、各部門3つの新部門に再編され、グループの事業を加速させることになる。