トーヨータイヤは2025年12月9日、タイヤを製品化する上で必要な原材料のうち、環境負荷の低減に寄与することが認められるサステナブル素材の使用比率を、96.5%まで高めたコンセプトタイヤを開発したと発表した。

トーヨータイヤは、タイヤの性能維持に不可欠でありながらもサステナブル素材へ置き換えることが難しい素材を代替していく技術の実現に注力し、環境性能と製品性能をさらに高次元で両立を図る取り組みを推進している。
トーヨータイヤで、これまで最高レベルのサステナブル素材使用比率(90%)のコンセプトタイヤを開発していたが、今回、さらにその比率を6.5ポイント引上げることが実現し、サステナブル素材の使用比率は96.5%と驚異的なレベルに達している。
タイヤに用いられるサステナブル素材は、天然由来など再生可能な「リニューアブル素材」と使用済みの資源を再利用した「リサイクル素材」の2種類に大別される。
今回のコンセプトタイヤには、リニューアブル素材(全体の61.5%)としてバイオマス由来ブタジエンゴムやバイオマス由来スチレンブタジエンゴム、バイオマス由来ポリエステル繊維、籾殻灰シリカ、植物由来オイルなどを採用し、リサイクル素材(同35.0%)には富山大学との共同開発で成功したCO2由来ブタジエンゴムや、再生カーボンブラック、再生ビードワイヤー、再生スチールコードなどを使用している。
また、タイヤの性能や製造工程において重要な役割を担う硫黄や酸化亜鉛といった、従来代替が困難であった素材について、長年培ってきた材料配合設計技術とタイヤ生産技術を駆使し、リサイクル化を実現。再生硫黄や再生酸化亜鉛などの素材を採用することで、各部材におけるサステナブル素材使用比率が大幅に向上した次世代コンセプトタイヤの開発に成功したとしている。
このタイヤは、ライフサイクル全体における温室効果ガスの排出量低減やEVの航続距離向上に大きく寄与する「転がり抵抗係数」を極小化し、日本のタイヤラベリング制度で転がり抵抗値のレベル最上位の「AAA」相当を実現していることも特長だ。
トーヨータイヤは、2030年にサステナブル素材の使用比率40%、2050年に同100%を達成することを目標としており、今回のコンセプトタイヤはその達成に向けた布石となる開発品である。市販用タイヤへの実装に向け、技術革新と研究開発を推進するとしている。













