ルネサス エレクトロニクスは2018年11月12日、FIAフォーミュラE選手権に参戦しているマヒンドラ・レーシングとの戦略的な提携を2018-19シーズン(シーズン5)に向けて拡大することを発表した。マヒンドラ・レーシングは、インドの電気自動車開発のパイオニアであるマヒンドラ&マヒンドラ(本社:インド・ムンバイ)のチームだ。
ルネサス エレクトロニクスとマヒンドラ・レーシングは、2017年に戦略的提携関係を締結し、オフィシャル・テクノロジー・パートナーとなっている。同時に、EV開発においてフォーミュラEを技術開発のプラットフォームとして活用するという、マヒンドラの「Race to Road方針」(レースで使用した技術を量産車に適用する)に基づき、フォーミュラEだけではなく、量産車のPoC(proof-of-concept:プロトタイプ実装に際しての機能検証工程)の開発を含め幅広い項目で提携している。
この提携を通じて両社はそれぞれの強みを持ち寄り、インドをはじめ、新興市場向けのEV、パワートレーン、ADASなどの開発・製造に向けて提携関係を拡大して行く方針だ。
ルネサスは、要件が厳しいパワートレーン制御システム向けに設計されたルネサスの車載用マイコン「RH850/E2x」と、車載用バッテリー管理ICを活用して、パワーコントロールの設計改良を行なっている。
シーズン5に向けて、ルネサスはPoC設計に取り組み、プリント基板設計、回路図、ソフトウェア、およびモジュラーレベルのテストを含む電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)の開発を行なった。このアップグレードにより、エネルギーマネジメントの処理能力が大幅に向上するとともに、バッテリー管理ICによりバッテリーのセーフティシステムを改善することができる。
ルネサスのオートモーティブソリューション事業本部・車載システム開発統括部のアムリット・ヴィヴカナンド統括部長は、「フォーミュラEは、当社のシステムレベル設計を即座に証明できる他に類のないEV設計テスト環境です。当社とマヒンドラ・レーシングの戦略的技術提携関係をさらに拡大し、システムレベルの設計に関する知見を共有することで、チームのEV設計の発展スピードを加速させるとともに、2018-2019シーズンの成功に貢献できることを嬉しく思います」と語っている。
FIAフォーミュラE シーズン5は2018年12月15日にリヤドで開催されるディルイーヤ戦を初戦を皮切りに、2019年7月14日開催のニューヨークシティ戦まで全13戦が行なわれる。