パナソニック 運転時の眠気にさようなら。画期的眠気制御技術を開発

2017年7月27日、パナソニック・オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、ドライバーの眠気を検知・予測し、覚醒状態を維持させるための眠気制御技術を開発したと発表した。

この技術は、カメラ画像から測定したドライバーの瞬き、表情などをAI処理することにより、初期段階の浅い眠気を非接触で高精度に検知する。また、人の放熱量や照度といった車室内環境の計測データを用いて、以後の眠気推移の予測に成功。それに加え、人の温熱快適性のモニタリングを併用することで、目的地まで快適に覚醒状態を維持させる眠気制御が可能となるという。

パナソニック 眠気制御技術 センサー カメラ 概念図

この技術の特長は、無自覚の浅い眠気を検知できることだ。人は眠気が生じると、「眠そうな表情」、「瞬きの仕方」といったさまざまな兆候が現れるが、これらを計測することで眠気を検知できる。

このシステムでは監視カメラなどの開発で培った画像認識技術を活用し、カメラ画像から瞬き、表情などを非接触で高精度に検出する技術を新たに開発。

さらに、これまでに収集した眠気と瞬き、表情などに関するさまざまな計測結果をデータベース化し、その中から約1800のパラメータと眠気の関係を生理学的見地に基づき分析した。また、公益財団法人 ・原記念労働科学研究所と共同で行なった眠気表情の分析結果に基づき、眠気レベルを推定する独自AIを開発している。

パナソニック 眠気制御 AIによる判断基準 概念図

瞬きによる眠気検知とは、目の輪郭を抽出し、まぶたの開口度から瞬きの時間変化をモニタリングすることで把握できる。これにより、無自覚の浅い眠気まで検知するとともに、検知した眠気のレベルを分類することが可能になっている。

また眠気の推移予測には車室内環境の検知技術が使用されている。一般的には、寒く明るい環境であれば人は眠くなりにくく、暖かく薄暗い環境では眠くなりやすいことから、眠気は温度や明るさ等の車室内環境に依存すると言われている。しかし同じ温度環境下でも厚着の人や薄着の人がいるなど、人の眠くなりやすさを周囲温度のみから推定することは困難だった。

パナソニック 眠気制御 環境による眠気の進行イメージグラフ

しかし新たに、着衣の状態にかかわらず人体からの放熱量が、所定時間経過後の眠気と関係性があることを、千葉大学との共同研究で明らかになった。そして独自の赤外線アレイセンサー「Grid-EYE(グリッドアイ)」を用いて、人の体からの放熱量を非接触で計測する技術も開発し、さらに、環境センサーで計測した周囲の明るさと、時間経過が眠気に与える影響も明らかにした。

パナソニック 眠気制御 眠気感知概念図

これらにより、非接触で計測した人の体からの放熱量や周囲の明るさから、現在の眠気がどのように推移するかを予測することが可能になったというわけだ。

そして予測した眠気レベルに応じて温度や風量を制御すると、覚醒状態を維持しやすくするシステムとして構築している。

従来から存在する眠気検知システムは、眠気推移の予測は困難だったし、従来の覚醒刺激システムはアラート音や振動などを用いており、使用者の快適性を損なうものが大半だった。

今回開発されたシステムは、2017年10月頃にサンプル品を提供できるという。このシステムはクルマのドライバーモニタリング・システムだけでなく、一般業務用車両やオフィス、教育機関向けの人・環境モニタリングシステム、眠気予測システム、覚醒状態を維持させるための眠気制御システムなど幅広い用途が想定されている。

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