パナソニック・オートモーティブ社は2019年10月23日、自動車用のコックピットのHMI(ヒューマンマシンインターフェース)の開発にあたり、仮想空間で検証するVRシミュレーターを開発したと発表した。これにより、自動車のコックピットの仕様策定やデザイン決定の効率化を実現することができるとしている。
概要
従来、開発を行なうために、紙の仕様書やPoC(検証やデモンストレーション)などを活用してコックピットのHMIを検証していたが、現実の運転感覚と異なるという問題があり、コックピットの開発において仕様の修正に多くの費用と時間が必要だった。VRシミュレーターを活用することで、従来の問題点を解決し、コックピットの開発効率化が可能になるのだ。
今回開発したVRシミュレーターは2種類ある。ひとつはUI(ユーザーインターフェース)のシミュレーション用で、VRゴーグルを使った仮想空間上で操作表示HMIを検証するためのもので、実際の操作とそれによる表示変化をインタラクティブに検証できる。これによりコックピットの操作表示の仕様策定を効率化できるわけだ。
もうひとつはUX(ユーザーシーン)のシミュレーションだ。VRゴーグルは使わず、横2面と床1面のスクリーンに仮想空間を投影して、乗り込みから降車までの一連の乗車シーンを被験者が動きながら検証できる。被験者の動きに沿った表示の変化とコックピットのデザインを同時に体感することが可能になり、これにより表示仕様やデザイン決定を効率化することができる。
今後は、これら2種類のVRシミュレーターを活用しながら自動車用コックピットの搭載機器を開発し、カーメーカーへ提案して行くとしている。