パナソニック株式会社は2011年8月24日、10月16日から23日にオーストラリアで開催される世界最大級のソーラーカーレース「2011ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」に参戦する東海大学のチームに太陽電池とリチウムイオン電池を提供するとともに、同チームとスポンサー契約を締結することで合意したと発表した。
WSCは1987年に第1回目が開催され、オーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000kmをソーラーカーで縦断してタイムを競うビッグイベントに成長。近年の大会では有名大学や一流企業をはじめ、世界中から多くのチームが参加している。2009年の前回大会では、パナソニックのリチウムイオン電池を搭載した東海大学チームが優勝した。
今回提供されるのは、量産型の太陽電池においては世界最高水準の変換効率を誇るHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)太陽電池と、高容量のリチウムイオン電池だ。
まずHIT太陽電池とは、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン薄膜を用いて形成したパナソニック独自開発のハイブリッド型太陽電池。変換効率が高く、高温時の特性に優れ、面積あたりの発電量が多いのもメリットだ。住宅の屋根などの限られた面積で発電するのには最適で、これはWSCを戦うソーラーカーにもまったく同様に当てはまる。
二次電池としてパナソニックが提供するのは、円筒形18650サイズの高容量リチウムイオン電池だ。独自のニッケル系正極を採用した業界最高レベルのエネルギー密度を実現し、かつ高容量・高耐久・軽量のため、長い駆動時間と電池パックの軽量化につながるなどのメリットを誇っている。
WSCではソーラーカーに搭載できる二次電池の重量に制限があるため、パナソニック製のリチウムイオン電池はいわゆる“引っ張りダコ”状態。今回は東海大学の他にも、オランダのデルフト工科大学やトゥウェンテ大学、米国のスタンフォード大学やカリフォルニア大学、さらにシンガポールの南洋工科大学の各ソーラーカーチームにも、パナソニック製電池を提供することが決まっている。