2017年5月17日、自動車産業にも多くの素材を供給している総合素材メーカーの旭化成が、電気自動車ベンチャーのGLMと共同開発したEVコンセプトカー「AKXY」を発表した。この「AKXY」は5月24日〜26日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2017」にも出展される。
今回発表された「AKXY(アクシー)」は、旭化成のオートモーティブ事業推進室の今後のプロモーション活動を象徴する存在として企画され、コンセプトカーの開発は2015年からデザイン、素材などを含め事業は共同で進めてきたという。また、このAKXYはEVプラットフォーム(トミーカイラZZ用)を活用することで、実走行が可能な設計となっている。
ボディサイズは、全長4685mm、全幅1813mm、全高1562mm。駆動モーターはトミーカイラZZに搭載されているユニット、225kW(305ps)を採用している。駆動バッテリーはリチウムイオン・バッテリーだ。ちなみに旭化成のリチウムイオン・バッテリー用のセパレーターはグローバルで50%のシェアを誇るという。
デザインは世界的に人気が高い都市型クロスオーバーSUVベースのデザインとし、アッパーボディはバルーン状に、ロワボディはダ幾何学的なラインとしている。インテリアは旭化成の先端的な素材を多用し、カプセルのようなイメージでデザインされている。
乗員はフロント1名、リヤ2名の3シーターで、左側に大型のスイングアップ型のドアを装備している。また、タイヤも旭化成のロゴ入りだ。旭化成はタイヤ用の最新素材を供給していることもあり、特別に金型を作ってタイヤメーカーに製造を依頼したスペシャルタイヤなのだ。
このAKXYはモックアップではなく、外装、内装ともに市販モデル同等に作り込まれ、実走行できるのが大きな特徴だ。
コンセプトカーの目的は、多くの国内外の自動車メーカーや、部品メーカーに対して旭化成の自動車関連素材、部品、システムを総合的にアピールするためで、今後「AKXY」は旭化成の富士事業所に置かれ、自動車産業のエンジニアが直接触れ、走らせることもでき、旭化成のオートモーティブ事業を訴求する役割を担うことになっている。
「AKXY」には、金属材料の代替として自動車の軽量化に繋がるエンジニアリング樹脂や、快適性に優れるカ—シート用人工皮革、旭化成が独自に開発している各種音声処理技術を利用した車内コミュニケーションシステムなど、旭化成の多岐にわたる部材やシステムを27品目搭載し、その多くは量産車への導入が可能なものだ。
さらにドライバーの脈波を無意識下で検出することができる非接触バイタルセンシングシステムや、車内の空気環境をセンシングするCO2センサーなど、安全運転や事故防止など自動車業界のトレンドに適合するポテンシャルの高い最先端技術も搭載している。