【クアンタムスケープ】スタートアップ企業が画期的な全固体電池のサンプル出荷を開始

カリフォルニア州 にある全固体リチウム金属電池技術のスタートアップであるクアンタムスケープ社は2025年10月22日、QSE-5セルと呼称する全固体電池のサンプル出荷を開始したと発表した。

これらのサンプルは、同社がこれまでに開発した中で最も先進的なQSセルで、リチウム金属が内部成長するデンドライド(金属結晶が成長することで正極、負極をショートさせること)を防止することができる画期的な「コブラ」プロセスを用いて製造されたセパレータを採用している。

高性能なQSE-5設計と、より効率的な製造プロセスを組み合わせたこれらのセルは、電気自動車やその他の用途に向けたQS技術の大規模商業生産に向けた大きな一歩を象徴しているといえる。

クワンタムスケープ社は2024年にフォルクスワーゲン・グループと提携しており、当初の全固体電池はフォルクスワーゲン・グループ向けとなる。

クワンタムスケープ社が開発している全固体電池は、固体電解質に酸化物系を採用していることが特長だ。トヨタや日産、ホンダなどが開発している全固体電池の電解質が硫黄系であることと対照的である。

同社は硫黄系の電解質の量産は困難、と結論しており酸化物系に方向転換している。負極材には金属リチウム材を採用し、より高出力化を追求している。

なお、金属リチウム材を採用することで発生しやすくなるデンドライドは、「コブラ」と呼ぶセパレータで完全に金属結晶の成長を阻止することができるとしている。この「コブラ」はクワンタムスケープ社の最大の企業秘密とされている。

「コブラ」技術をベースにしたQSE-5セルは、クアンタムスケープ社がフォルクスワーゲン・グループと共同で進める初の2輪車両「ドゥカティV21Lモーターサイクル」に採用されている。

このドゥカティ電動モーターサイクルは、クアンタムスケープ社の全固体電池技術の性能をリアルワールドで実証する目的で設計されている。

なお、クアンタムスケープ社はカリフォルニア州サンノゼ本社に高度に自動化されたセル生産パイロットライン「イーグルライン」を設置中だ。

クアンタムスケープ社のCOOであるルカ・ファソリ博士は、「QSE-5サンプルの納入開始を発表できることを誇りに思います。当社はパートナー企業と連携し、画期的な固体リチウム金属電池技術を可能な限り迅速に市場投入すべく取り組んでいます。本発表は、エネルギー貯蔵に革命をもたらすという目標達成に向けた重要な一歩です」と語っている。

クアンタムスケープ 公式サイト

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