ミシュラン本社は2024年12月11日、高性能ブレーキシステムの世界的リーダーであるブレンボとインテリジェント・ソリューションの可能性を最大限に引き出すためのグローバル契約を締結したと発表した。
このパートナーシップを通じて、車両性能の革新を実現し、これまでにない最高レベルの安全性と快適性を提供することを目指している。
このパートナーシップでは、ブレンボが持つブレーキシステム、車両モデリング、人工知能の技術と、ミシュランが誇るタイヤモデリングやアルゴリズム開発の専門性が融合されることになる。
ミシュランのコネクテッドソリューションは、タイヤ開発の中で培われた高度なモデリング技術とシミュレーションの専門知識を活かしており、ミシュラン独自の車両データ分析のノウハウにより、リアルタイムで車両に情報を提供できるソフトウェアを開発した。
その情報には、摩耗状況、荷重、グリップなどが含まれる。また、このソフトウェアは、すべてのタイヤブランドに適合可能だ。
ブレンボの「センシファイ」は、現代のあらゆる車両に対応する次世代の画期的な全電動化ブレーキシステムだ。
「センシファイ」は、ブレンボの世界的に評価されているブレーキコンポーネントと、AI、アルゴリズム、センサーを活用して油圧を使用せず、各ホイールを電動モーターによって独立して制御するデジタル・ブレーキ・システムだ。
両社の提携による技術革新で、ミシュランのコネクテッド・ソリューション・ソフトウェアとブレンボの革新的な「センシファイ」ブレーキシステムの間でデータをリアルタイムに継続的に交換する仕組みに支えられる。
ミシュランが提供するタイヤのグリップデータにより、エンジニアはブレーキシステムを極めて精密に調整することが可能となり、センシファイの性能がさらに引き上げられるのだ。
初期テストでは、仮想環境と実走行テストで非常に有望な結果を示している。第1段階では、ミシュランのタイヤモデルとアルゴリズムがブレンボのインテリジェントブレーキモデルおよび車両シミュレーションと統合され、完全に仮想環境で実施された。
第2段階では、ミシュランの研究センターにあるテストコースで実際の試験が行なわれ、シミュレーション結果が確認された。
テストの結果、同じタイヤを使用したさまざまな条件下で、ABS作動中に最大4mもの制動距離短縮が確認された。車両の平均的な長さが約4mであることを踏まえると、素晴らし優れた結果と評価できた。
ブレーキシステムは、反応時間の短縮、トラクションロスの最小化、横方向の安定性向上、さらにはホイールロックの回避といった性能を発揮。これらの要素により、従来の常識を超えるスムーズで快適なドライビングが実現することになる。
