フォルヴィア 画期的サーマルマネージメントシステム「クーラントコントロールハブマックス」を発表

グローバルサプライヤーであるフォルヴィア・グループ傘下のヘラーは2024年2月9日、最新の電気自動車用の熱管理システム「クーラントコントロールハブマックス」」を発表した。
*仏フォルシアはヘラー買収のタイミングでグループ名「FORVIA」を発表

電気自動車のバッテリーは寒冷時には温め、急速充電や高出力時または高気温時には冷却するという温度コントロールの性能が、バッテリーの高性能化、長寿命化のために必須とされている。このバッテリー温度管理とキャビンの温度コントロールを一体化させたサーマル・マネジメント・システムは、テスラが搭載する「オクトバルブ」ユニットが先鞭を付け、各社が開発を競っている。

モーターやインバーターの熱を回収する一方で、最小限の冷媒で冷却、冷房も可能なクーラントコントロールハブマックス(CCH Max)

今回ヘラーが発表した「クーラントコントロールハブマックス(CCH Max)」は、電気自動車全体の効率的な冷暖房を担い、バッテリー、キャビン、パワーエレクトロニクス、電気モーター、冷媒回路を接続し、車内の熱エネルギーを理想的に分配することを実現している。

この最新システムは、冷媒や冷媒部品の使用量を極力減らすことで、コスト低減および可燃性の懸念によるリスク低減につながり、冷却系システムの利点を最大限に活かすようにしている。

ヘラー・ジャパンのマネージング・ディレクター ローニーチック氏
「私たちは現在、既存のクーラントコントロールハブについて、すでに複数のお客様からオーダーを頂いています。現在、ハイブリッド車のラインアップが充実している日本の自動車メーカーにおいても、新しい電気自動車プラットフォームの大規模な開発が始まっています。フォルヴィア・ヘラーもまた、効率的なクーラントコントロールハブの技術と製品によって、日本のお客様の電気自動車におけるサーマルマネジメントの進化に重要な役割を果たすと確信しています」

現在主流のノンフロン冷媒「R1234yf」は環境問題を引き起す可能性があるためヨーロッパでは使用禁止が検討されている。プロパンやCO2といった代替燃料も存在するが、これらには別の懸念もある。 CO2は高いシステム圧力を必要とするため、高価な部品によるシステムコストの上昇につながり、プロパンは引火性が高いため、乗客を保護するために特別な安全コンセプトが必要となる。

しかし、クーラントコントロールハブマックス(CCH max) のコンセプトは冷媒の必要量を削減することで、この状況をブレイクスルーしている。冷媒システムを最小化することで、車室内への冷媒回路を避けたレイアウトが可能で、より安全な冷媒の使用が容易になっている。

いうまでもなく電気自動車は、内燃エンジンがないため室内の暖房に課題がある。しかし、このクーラントコントロールマックスは、サーマルマネジメントシステム内の様々なソースから廃熱を回収し、バッテリーやキャビンに利用することができるのだ。これには、電気モーター、バッテリー、周囲の空気、冷媒システムから熱を取り出すことで、補助的な電気ヒーターの必要がなくなっている。

クーラントコントロールハブマックスのインテリジェントな設計により、冷媒システムそのものに比べて、適度な外気温であればフロント・ラジエーターを通じて車内とバッテリーの両方に高効率の冷却を提供することが可能だ。

このように、サーマルマネジメントシステムにおけるクーラント(冷却水)の循環と分配を統合的に最適化することで、エネルギーロスを抑え、騒音と振動を抑制し、快適なドライビングを可能にしている。

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