2016年3月24日、NANDA型フラッシュメモリー、SDカードメモリーなどの世界的リーダー、サンディスク社は、新しいスマート機能を搭載した車載用フラッシュ・ストレージ「SanDiskR Automotive」シリーズ、産業用フラッシュストレージ「SanDisk Industrial」シリーズを4月から出荷開始することを発表した。
サンディスク社は世界のすべてのスマートフォン、タブレットがサンディスクのメモリーを使用しているなど大きなシェアを持ち、日本の四日市工場で世界中で使用されるフラッシュメモリーの40%を生産しているフラッシュメモリー専門メーカーだ。
今回、新製品を発売した背景には、2020年頃には世界のデジタル機器に使用されるデジタルデータは44兆GB、その時点で普及している機器は260億個、そして2020年頃に発売される新車の75%はコネクテッドカー(インターネット常時接続機能を持つクルマ)になっているという予測がある。
つまりIoT(常時インターネット接続機器)が大幅に拡大し、産業、ビジネス機器はすべてインターネットに常時接続され、結果的に機器のデータ記憶装置の容量拡大は必須なのだ。サンディスク社によれば、IoTの分野では無人自動運転化が進む採鉱用のトラックなどは1台当り2.4テラバイト、工場のロボット、製造機器は1ペタバイト/日、電気やガスのメーターは3.2ペタバイト、旅客機は40テラバイト/日、ビルディングは250ギガバイト/日、自動運転車は1ギガバイト/秒など、コネクテッド・デバイスを使用することで膨大なデータ量がやりとりされ、結果的に大容量のメモリーが必要になるとしている。
このため、自動車、産業の分野では、OSや新しいソフトの記憶装置、リアルタイムのデータの格納、クラウドとの通信データの一時保存のためにフラッシュメモリーが必要だと認識されている。
今回発売される、サンディスクの車載用、産業用のフラッシュメモリーは次世代に向けた製品と位置付け、新たにスマート機能を装備している。スマート機能はフラッシュメモリーの信頼性や利便性を高める機能で、具体的には以下のような内容だ。
・フラッシュメモリーの寿命、交換タイミングを知らせる「ヘルスステータス」
・予期しない電源瞬断でもデータを保護する「電源瞬断耐性」
・メモリーを自動的にリフレッシュすることで格納されたデータの読み取り性能を維持する「リードリフレッシュ」
・会社名や日付、プロジェクトなどをIDで認証でき追跡調査可能な「文字列プログラム機能」
・ホスト側でパスワードを設定しデータ、ライセンスを保護する「ホストロック」
・機器に装着状態でもメモリーのファームウエアを更新できる「ファームウエア更新」
こうしたスマート機能を装備した車載用メモリーの容量は8~64GBで、動作温度-40度C~85度C、そして高速インターフェイスで、市販民生用とは異なり高い信頼・耐久性が要求される自動車規格AEC-Q100の認証を受けている。この車載用製品は自動車メーカー、大手自動車部品サプライヤー向けに販売される。用途としては、ナビのマップデータ格納、クラウド接続でのデータ一時格納、ドライブレコーダー、通信モジュール経由のクラウドからのデータ一時的格納などが考えられている。
一方、産業用も8~64GB、動作温度-40度C~85度C、高速インターフェイスであることが要求され、IoT化された製造機械、ネットワークカメラ、監視カメラの映像データ格納、IoTビルやスマートメーター用などインターネット接続化された幅広い社会・産業用機器のメモリーとしての需要が見込まれている。
これらのフラッシュメモリーは、自動車メーカー、大手自動車部品サプライヤー向けに販売代理店から出荷され、一般向けに販売されることはない。