クアルコム ジャパンとニチコンは2018年1月17日、ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド2018」のブースで会見を開き、クアルコムの非接触充電システム「Halo(ハロ)」を用いた電気自動車用のワイヤレス充電システムの開発状況について説明会を行なった。
クアルコムと、コンデンサー製造から電気自動車の充電装置、ビークルtoホーム用のパワーステーションを製造しているニチコンは2017年7月に、EB用のワイヤレス充電システムのライセンス契約を結んでいる。
この契約によりクアルコムは技術特許やノウハウを提供し、ニチコンが量産製品を製造・販売するという連携が実現している。
クアルコム ジャパンのビジネスディベロップメント・シニアディレクターの小沢幸雄氏は「すでにクアルコムからニチコンへの技術やノウハウなどの供与が進んでいる。ニチコンにおける試作開発も間もなく始まると聞いている」と説明。
ニチコン NECST ビジネス・ストラテジーオフィスのリーダー杉下豊氏は「当社はこれまでEV向けでは有線の充電システムを事業展開してきた。ワイヤレス充電システムは、有線の充電システムと共存しつつ、EVのベネフィットになるだろう。実際のクルマに採用されたといえる日が早く来ればと考えている」と述べた。その上で、実用化時期については自動車メーカーからの需要次第ではあるが、2021年ごろには市場に出したい」と語っている。
また、クアルコム・ニュージーランドのエンジニアのミカエル・キッセン氏により、開発中のワイヤレス充電システムを道路に埋め込み、EVは走行しながら充電できる「ダイナミックEV充電システム」の紹介も行なわれた。
道路に埋め込む充電ユニットの使用周波数は定置型と同じ85kHz、充電出力は最大20kWで、充電可能な最高速は120km/hだという。
今後、普及が加速すると予想される電気自動車の充電インフラとして、従来からの有線充電に加え非接触のワイヤレス充電、さらに路面埋込み型のダイナミックEV充電システムなど、多用な充電方式が展開されることが予感できる。
ただ、ワイヤレス充電は車体側にも非接触型の充電装置を装備するため、車両のコストもアップするため、当初は導入しやすいコストにすることが難しく、高級車向けとして導入されると予想される。しかしクルマと住宅の間で電力をやりとりするビークルtoホーム(V2H)としたり、自動運転とワイヤレス充電システムの親和性は高く、ワイヤレス充電は長期的な視点で考える必要がある。