2014年5月28日、ドライ樹脂ベアリングのメーカー「イグス」は、同社の樹脂製ドライベアリング「イグリデュール」の発売30周年を記念し、同製品を多数使用して製作した「IGUSスマート」が日本での走行を開始すると発表した。これは世界一周をする「イグリデュール30周年ツアー」の一環として行なわれる
プラスチックの加工方法のひとつである射出成形(しゃしゅつ)によって製造される産業用樹脂部品、すなわちエンジニアリング・プラスチックの製造メーカーであるイグスは、同社の主力製品である樹脂製乾式ベアリング「イグリデュール」の発売30周年記念イベントとして、同社の製品を多用したデモカーで世界一周をする「イグリデュール30周年ツアー」を行なうことになった。
ツアーに使われるのはスマートfortwoコンバーチブルで、ノーマル車をベースに、置換できるパーツをすべてイグス製の樹脂ベアリングに交換。その作業はイグス社が本拠を置くケルン工科大学の産学協同プロジェクトの一つとして行なわれた。そしてこのツアーに使用されるIGUSスマートは、ケルンからインドに送られ、2014年1月末からツアーが開始された。
その後、中国、韓国、台湾でのツアーを経て2014年5月22日に日本に到着。このIGUSスマートはパシフィコ横浜で行なわれた「人とクルマのテクノロジー展」に出展されていた。そしていよいよ5月29日から日本ツアーが開始。行程は、東京を出発し中国地方を経て九州の阿蘇山まで行き、その後はUターンして北関東を経て仙台までを踏破するという。
イグス社は、自社で目的に合わせた樹脂を製造し、多様な産業用樹脂部品を製造販売しているが、特に近年は自動車用の樹脂ベアリングの需要が拡大し、ドイツで生産されるクルマは平均40個以上の同社部品が使用されているという。この樹脂製のベアリングは、潤滑オイルなしのドライタイプのベアリングで、軽量、耐食性、耐久信頼性、コストの面で従来の金属製+オイル潤滑ベアリングを上回るという大きなメリットを備えている。
イグス社によれば日本のクルマでの採用率は、ドイツ車に比べ1/10以下というレベルにあるが、今後は販売ネットワークを強化し、2次サプライヤーへの営業を推進して普及を図る計画だ。
なお、IGUSスマートによるワールドツアー、日本ツアーの様子は特設サイトで見ることができる。