2013年10月25日、ハブベアリング、等速ジョイントの製造メーカー「NTN」はインホイールモータ搭載の電動「超小型モビリティ」で日本初のナンバー取得したと発表した。またこの車両は三重県伊勢市に貸与され、公道での実証実験を開始している。
この電動・超小型モビリティはNTNが独自開発した「インホイールモータシステム」を搭載した2人乗り電気自動車で、日本で初めて「超小型モビリティ」としてナンバーを取得した。これは電気自動車などを活用した低炭素社会モデル事業を推進する三重県が、伊勢市や桑名市、津市などを運行地域として、NTNのインホイールモーターシステム搭載EVを国土交通省に申請。中部運輸局長から初めて超小型モビリティとして認定を受けたもの。インホイールモーター方式の超小型モビリティとしては、日本初の認定となる。
超小型モビリティは、今年1月に道路運送車両法に基づく基準緩和を活用した認定制度が創設され、安全確保を最優先に考え、高速道路等は走行しない、交通の安全等が図られている場所において運行すること等を条件としたうえで公道走行を可能とするためのもので、地方運輸局長により認定が行なわれる。
NTNのインホイールモータシステムを搭載した超小型モビリティは中部運輸局長から認定を受け、中部5県(愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県)で初めて運行を開始する。認定を受けた合計5台のうち1台は三重県伊勢市へ貸与し、公用車として利用されるほか、協議会メンバー、観光モデルコースなどに利用される。
なおNTN製のインホイールモーターを使用した電動超小型モビリティは、静岡県で軽自動車登録で公道での実証実験を行ない、その一方でヨーロッパ規格の超小型モビリティ「TOO’in」は、今年6月からフランスのアヌシー市でも公道での実証実験を開始している。小型車用のインホイールモーターは、出力4kW×2で、最高速75km/h。バッテリーはリチウムイオン電池で、容量は約3kWh。
・桑名市にオンボード2モーター式EVを貸与し実証実験
また、NTNは世界最軽量級の減速機内蔵モータシステム「オンボード2モーター駆動システム」を搭載したスズキ・ワゴンR改造電気自動車(コンバートEV)1台を、10月27日に三重県桑名市へ貸与し、実証事業を開始した。 桑名市が推進する「桑名市スマート・エネルギー構想」に、同市に拠点を置くNTNが協力・参画したもの。
この車両は、世界最軽量級の減速機内蔵モーターユニットを左右前輪の車両側(オンボード)に搭載したコンバートEVだ。モーター駆動力を左右独立で制御することで、滑りやすい路面でも安定した駆動力を確保し、走行安全性にも優れている。また、回生ブレーキを効率よく使うことで燃費(電費)向上を図ることができる。
このコンバートEVは、市の公用車として利用されるほか、市のイベント活用、および市民・自治会などへの短期貸し出し、観光スポットにおける周遊利用など、今後1年5ヶ月にわたり利用されるという。
なお、オンボード2モーター駆動システムの特長は、左右独立駆動システムによる走行安定性能の向上、既存のサスペンションが流用できること、回生ブレーキの効率的な使用により電費を向上できること、センサー情報に連動した車両安定制御システムを採用しやすいことなどが挙げられる。基本仕様は最高速度 110km/h、 航続距離100km、充電時間4時間(200V) と公表されている。