帝人の100%子会社で化学製品を手がける帝人化成は2011年7月 26日、自動車の軽量化に向けたポリカーボネート樹脂「パンライト」製のグレージング(樹脂などにより射出成形されたガラス代替パーツのこと)が、フランス・シトロエンの新型車「DS5」のクオーター・ウインドーに採用されたことを明らかにした。
今回の採用でガラスと比べて窓の重さを20%軽くすることができ、燃費の改善にも貢献する。このパンライトは帝人化成の主力素材で、ガラスの200倍以上の耐衝撃性を持ち、重さは2分の1と軽量。高い透明性や耐久性を持ち、光学的なひずみがないことなどもメリットとなり、自動車の窓に適している素材だという。
また成形や加工に関しても帝人化成では、世界最大級のプレス成形機を導入して大型成形の課題だった“ひずみ”や“そり”を低減するなど、自動車用ポリカーボネート樹脂製の窓加工技術の開発を進めているところだ。
ちなみに帝人化成の「パンライト」製グレージングは、レクサスLFAのクオーター・ウインドーとパーティションにも採用された実績があり、この場合はガラス素材に対して40%以上の軽量化を実現している。
クオーター・ウインドーとは、側面の窓の前端や後端にある開閉できない三角形状などの部位を指す。今回、樹脂などガラス・金属代替パーツ大手のドイツ・フリーグラスと共同開発した製品が、新型車に採用された。透明な窓と、黒い光沢面を持つピラー(窓柱)カバーを一体成形し、ガラスではできない複雑なデザインにして空力特性を高めるとともに、大幅に軽量化することで燃費性能を向上させている。
車体の軽量化・燃費改善のため、窓/枠材/ボディなどのパーツで樹脂化が進んでいることから、帝人グループは自動車・航空機分野を重要市場ととらえ、車両用の素材・加工技術の開発を強化しているところだ。パンライト製のパーツは、ダイムラーやポルシェでも採用されている。同グループではシトロエンの新型車への採用を機に、自動車向けガラス・金属代替パーツへのさらなる採用拡大を目指す。