2015年9月17日、環境試験機器のトップメーカーのエスペックは、グローバルな産業製品の安全・品質について、評価・試験・認証を行なっているドイツのTUV SUD(テュフ ズード)と提携し、車載用バッテリーの安全性に関する国連規則の認証申請ができる試験所「バッテリー安全認証センター」を宇都宮に開設した。
電動駆動システムを持つクルマがグローバルで増大しつつある中で、車載用バッテリーは大容量化が進んでおり、こうしたバッテリーの安全性向上が世界的な課題となっている。
2013年に国連欧州経済委員会において、「バッテリー式電気自動車に係る協定規則」が改正され、2016年7月以降に新規認可される電気自動車、PHEV、ハイブリッドなどは、国連規則「UN ECE R100-02. PartⅡ」に適合することが義務付けられることになった。
このため、自動車・バッテリーメーカー各社は、国連規則に定められた安全性試験の実施、認証取得が必要となり、日本では国交省が認証窓口となる。
こうした状況の中で、エスペックは2014年10月に世界的な第三者試験認証機関であるテュフズードジャパンと業務提携を行ない、テュフ ズードグループの高度な経験を持つバッテリー安全性試験技術、認証機能と、エスペックの持つ環境試験技術、最先端の試験設備を組み合わせることで、世界初の国連規則対応の安全性試験から認証までの一貫サービスを実現する「バッテリー安全認証センター」が宇都宮工業団地内に新設された。
バッテリー安全認証センターは、国連規則に定められた9項目(外部短絡、温度サイクル、圧壊、振動、衝撃、過充電、過放電、過熱、耐火試験)の安全性試験から認証申請までを一カ所で行なうことができる試験センターという位置付けだ。このためエスペックとテュフズードジャパンの試験担当者が常駐している。
バッテリー安全認証センターはエスペックのエナジーデバイス環境試験所の敷地内に専用棟が新設され、特に圧壊試験や過充電・過放電の試験を行なう部署はドイツにおいで8年間の試験実績をもつテュフズードの経験を元にした耐爆、耐火、排煙構造・設備を備えている。
このバッテリー安全認証センターが受託する試験は、国際規格に適合するかどうかだけではなく、中国などをはじめ他の国際規格への適合試験、さらに委託する自動車メーカーやバッテリーメーカー独自のより高い目標に向けての開発評価や限界性能試験なども行なうことができる。
従来はバッテリーメーカーや自動車メーカーが独自で行なっていた各種試験が、第三者によって一貫した試験を行なうことができる点でもこの施設の意義は大きい。