ベアリング、ドライブシャフトのサプライヤーのNTNは2024年5月21日、高効率固定式等速ジョイント「CFJ」と、低振動摺動式等速ジョイント「PTJ」の組み合わせで、世界最高水準の高効率・低振動を実現したドライブシャフトを電気自動車(EV)向けに開発したと発表し、「人とくるまのテクノロジー 2024 YOKOHAMA」に出展した。
高効率であることや低いNVH(騒音・振動・ハーシュネス)などが求められるEVに、このドライブシャフトの提案を進め、航続距離の延長と乗り心地の向上に貢献するとしている。
ドライブシャフトは、モーターなどパワートレインのトルクをタイヤに伝える部品で、タイヤ側の固定式CVJとパワートレイン側の摺動式CVJ、これらをつなぐシャフトで構成される。
現在、普及が進むEVは航続距離の延長を目的に省電費化が追求されている。しかし、大型バッテリーの搭載や居住空間の確保を目的とした駆動ユニットのレイアウト変更にともない、ドライブシャフトの搭載角度(CVJの取付け角度)が大きくなると、トルク損失率が増加する傾向にあり、大きな取付角度でもトルク損失率の低減が求められる。また、動力が従来の内燃エンジンからモーターに置き換わることで、さらに自動車の静粛性の追求が行なわれ、ドライブシャフトのNVH改善ニーズが高まっている。
こうしたニーズに対応し、高効率固定式等速ジョイント「CFJ」と低振動摺動式等速ジョイント「PTJ」を組み合わせたドライブシャフトをEVに最適な商品としてプレゼンテーションしている。「CFJ」はトルク損失率の低減(高効率)、「PTJ」は振動につながるスライド抵抗の低減において、それぞれ世界最高水準の性能を誇るCVJとなっている。これらを組み合わせることで、EVの航続距離の延長と低振動・静粛性の向上が期待される。
従来品から、「CFJ」と「PTJ」を組み合わせた新しいドライブシャフトに置き換えた場合、トルク損失率を70%以上低減することが可能で、電費は3.19%の改善効果が得られる。なお、エンジン車におけるCO2排出量削減効果は1.71g/kmとなる。
高効率・低振動ドライブシャフトはすでに一部のSUV向けに量産を開始しており、現在、電動車向けでも多数の引き合いがあるという。NTNはリヤ用小型・軽量ドライブシャフト「Rシリーズ」や小型・軽量を特長とするCVJの「Eシリーズ」に加えて、この商品をEVやハイブリッド車(HEV)など電動車向けにグローバルで提案するとしている。