2017年1月16日、韓国のタイヤメーカー「NEXEN(ネクセン)」と、トヨタ系列の総合商社、豊田通商が日本においてタイヤ販売の合弁会社「ネクセンタイヤ・ジャパン」を設立し、営業を開始したと発表した。
合弁事業としてネクセンが51%、豊田通商が49%出資した「ネクセンタイヤ・ジャパン」は、日本におけるネクセン・タイヤの営業、販売を行なう。なお扱うブランドはネクセンと、同社の別ブランド「ロードストーン」の2ブランドで、タイヤとしては軽自動車用から高性能車用までほぼ全カテゴリーをカバーするタイヤ・ラインアップとなる。
■ネクセン・タイヤとは
ネクセン・タイヤは、韓国においてハンコック、クムホと並ぶタイヤメーカーで、韓国において最初にタイヤを製造販売した歴史を持つメーカーだ。1980年~90年代にはミシュランと提携して韓国におけるミシュランタイヤの製造販売を行ない、現在では韓国で30%のシェアを持っている。
ネクセンは、韓国に留まらずグローバル規模のタイヤメーカーとして拡大し、現在では生産拠点4ヵ所(韓国に2ヶ所、中国に1ヵ所、チェコに建設中)、研究開発センター4ヵ所(韓国、中国、アメリカ、ドイツ)、海外法人7カ国、海外支店11ヵ所を展開し、2016年には130カ国で4000万本の販売実績を持っている。
注目すべきは、韓国の第2工場と2018年稼動予定のチェコ工場は世界でも最新の全自動タイヤ製造ライン設備を備えていることだ。またネクセンタイヤは17の自動車メーカー、特にヨーロッパにおいてはフォルクスワーゲン、ルノー、フィアット・クライスラー、ダイムラーなどにOEM納入しており、近年ではポルシェ・カイエン用のタイヤとしてポルシェ社から認証を受けるなどの実績を積み重ねている。
■豊田通商
豊田通商はトヨタ系の総合商社で、自動車ビジネスとしては海外での日本製自動車の販売、ノックダウン生産事業、中古車販売、販売金融会社、市販部品の販売やリビルド部品販売事業などを展開している。
今回のネクセンとの合弁により、豊田通商が展開する輸入車販売(RUSH)、輸入車用アルミホイール販売や輸入車用リビルド部品を扱うTASでネクセン・タイヤを販売する。また海外でも豊田通商の販売網を通じて、アフターマーケット向け自動車部品販売と合わせネクセン・タイヤを販売する計画だ。
■事業展開
「ネクセンタイヤ・ジャパン」は、従来からネクセン・タイヤを扱っている一次卸商はもちろん、ガソリンスタンド、部品量販店、全国タイヤ販売店などにも補修用タイヤの販路を拡大させる計画だ。さらに「ネクセンタイヤ・ジャパン」は、日本の自動車メーカーのOEM採用を目指し営業も開始する。
当面の販売目標は年間50万本、5年以内に100万本、輸入タイヤとしてナンバーワンのポジションを目指すという。なお日本でのセールス・キーワードは「スマートチョイス」(賢い選択)だ。
また、ネクセンのカン・ホチャン社長は、従来日本にはないまったく新しいタイヤ販売ビジネスも構想しているという。
■ネクセン・タイヤのラインアップ
乗用車用としてフラッグシップと位置付けられている超高性能タイヤ「N Fera SUR4]を頂点に、スポーツ系の高性能タイヤ、コンフォート系のタイヤ、エコタイヤまでラインアップし、SUV用はポルシェ社の認証を受けた「N Fera RU1」を頂点に、ラグジュアリーSUV用、全天候型タイヤ、商用車用のタイヤまでを持ち、軽自動車から大型SUVまでをカバーできる商品展開だ。
SUV用タイヤのフラッグシップ「N Fera RU1」のタイヤ性能は、競合タイヤと比較してもウエットグリップ性能、ハンドリングと乗り心地のバランスの良さ、耐摩耗性と低転がり抵抗のバランスが優れているという。