ミシュラン本社は2022年7月7日、従来は49%保有していたミシュランとバリトパシフィックグループとの合弁会社「ロイヤル・レスタリ・ウタマ(RLU)」の資本の51%を買い増し、RLUの単独所有者になったと発表した。
RLUは、ミシュランとインドネシアのパートナー企業が2015年に開始したプロジェクトで、ジャンビ州(スマトラ島)の約7万ヘクタール、東カリマンタン州(ボルネオ島)の約1万8000ヘクタールの広い農園で、持続可能な天然ゴム栽培と森林保全の両立を目指している。
この地域は、RLUが関与する以前は森林破壊で大きな被害を受けていたが、2015年以降、ミシュラン・グループはインドネシアの多様な事業に10億ユーロ以上を投資し、過去6年間で社会的にも環境面でも多くの改善を行なっている。
例えば、2万3000ヘクタール以上でパラゴムノキを栽培し、3万9000ヘクタールで森林農業や自給自足農業の発展を促進した実績があり、それにともなって4000人の雇用を創出し、農家に対しゴムの木の栽培と多毛作の技術指導をすることで、住民5万人の生活水準向上に貢献してきている。
このように大きな改善が進む一方で、天然ゴムのバリューチェーンは非常に複雑でかつ細分化されており、商業的、社会的、環境面で多くの課題があることも事実だ。
ミシュランの購買ディレクター、ヴァンサン・ルセット・ルーヴィエール氏は、「ミシュランがRLUの単独所有者になることは、要求が厳しい非凡な長期プロジェクトに投資し続けることを意味します。RLUは、社会的、環境保護的、経済的な目標達成を目指します。人々の生活水準の向上と、森林・生態系の保護を両立しながら、インドネシアの天然ゴム分野の変革を支えることを確信しています」と語っている。
天然ゴムを生み出すパラゴムノキはインドネシアなど東南アジアの熱帯雨林地域でしか生育できず、天候、植物病害の影響を受けやすい環境にあり、安定した生育、天然ゴム採取を実現することが求められている。また熱帯雨林はCO2吸収力があり、カーボンニュートラルな社会を目指すためにも熱帯雨林を安定的に発展させることはきわめて需要なのである。