【ミシュラン】氷上性能を一段とアップさせた第3世代のスタッドレス、「X-ICE XI3」を9月から発売

2012年7月27日、日本ミシュランタイヤは、新開発の乗用車向けスタッドレスタイヤ「MICHELIN X-ICE XI3(ミシュラン・エックスアイス・エックスアイスリー)」を9月1日から順次発売すると発表した。発売サイズは14インチから18インチまで計32サイズで、価格はオープン価格となっている。

今回発売するMICHELIN X-ICE XI3 は、2004年に発売されたX-ICEシリーズの第3世代となる。第3世代の開発コンセプトは、スタッドレスタイヤへの基本要求である氷上性能の更なる向上を目指すことが第1で、同時に潜在的ニーズである耐久性、省燃費性、静粛性をも高レベルに確保することも目指して開発されている。

ミシュランのスタッドレスタイヤは、スタッドレス登場初期に日本独特の地域特性に最適化させるために、フランス本国のチームが札幌近郊で開発を行った歴史があるが、現在は日本の研究開発実験部が中心となって北海道をメインに開発が行われている。

ミシュランの日本におけるスタッドレスタイヤに関する調査では、ユーザーが望む性能は氷上でのブレーキ性能、横滑りのしにくさ、耐久性といった優先順位になったという。

そのため、新スタッドレスタイヤの開発に当たっても、凍結路でのブレーキ性能の更なる向上が第1優先とされ、さらに凍結路から雪道、ウェット路まで様々な路面で安定した走りができること、耐久性、省燃費性、静粛性も向上させ、トータルバランスを高めることにしている。

↑トリプル・エフェクト・ブロック
↑クロスZサイプ
↑氷上でのブロックの働き

 

まず凍結路でのグリップ性能(エッジ効果、接地面積効果、雪柱せん断効果)を高めるために、第3世代のウインターグリップテクノロジーが採用されている。

トレッド部のブロックには「トリプル・エフェクト・ブロック」を採用。これはブロックの剛性を確保しながらもクロスZサイプ(切り込み溝)、マイクロポンプ(微小な径の吸水孔)、ジグザグ・マイクロエッジという3種類の手段を組み合わせ、エッジ効果と氷上の水分を吸水することで凍結路、雪路でのグリップ力を高めていることを意味する。

↑ジグザグ・マイクロエッジ
↑バリアブルアングル・サイプ

 

次に「マックスタッチ」で、接地面の面圧を均一化することで、氷上でのグリップ力を高めることができるのだ。接地面積の拡大と均一な荷重を得るためシミューションを駆使して実現したという。

↑接地面圧を均一化
↑新Vシェイプデザイン
↑ブロック数を増加しエッジ効果をアップ

 

トレッドパターンには「ジグザグ・マイクロエッジ」と「バリアブル・アングル・サイプ」を採用。これらは、多数のサイプによるエッジによる引っ掻き効果が得られ、凍結路でのブレーキ性能と駆動性能の向上に効果を発揮する。

さらにパターンは、従来タイプに比べてブロックの数を15%増加させ、より高いエッジ効果と雪路での雪柱せん断抵抗の増大をはかり、またパターン全体では緩やかなVシェイプ「新Vシェイプデザイン」としている。

↑シリカを大量に使用したコンパウンド
↑氷上ブレーキ性能を9%向上

 

トレッドゴムは、低温でも路面への密着性に優れるフレックスアイスコンパウンドを採用。これらの新技術を採用した結果、X-ICE XI3は、従来のX-ICE XI2に比べブレーキ性能は約9%、駆動性能は約5%改善しているという。

こうした氷上・雪上性能の向上に加えて、耐摩耗性、転がり抵抗の低減も果たしているのも注目できる。まず、均一な接地面を実現したマックスタッチにより偏磨耗を防止し、さらにトレッド全体が50%磨耗した状態でも初期状態に近いグリップ性能が得られるように磨耗を考慮した設計が採用されているのだ。転がり抵抗に関しては、ミシュランの社内基準をクリアした証明としてグリーンXマークが刻印される。

↑新品(左)と50%磨耗時(右)で性能変化を抑制
↑低転がり抵抗を実現「グリーンXマーク」

 

この他に、トレッド面で発生する周波数をコントロールして静粛性を向上。さらに各サイプの根元の形状を丸くする(ティアドロップ形状)ことでストレスの分散化をはかり、高速走行時でもブロックの耐久性が高まっており、多くのサイズで速度規格Hレンシ(210km/h)を達成しているのも特徴だ。

↑高速走行でもブロックの負荷を低減するティア
ドロップ・サイプ(左は旧タイプ)
↑静粛性を向上させるサイレントアイ

 

こうのようにミシュランの新型スタッドレスタイヤ、X-ICE XI3は凍結路、雪路でのブレーキ性能、駆動性能を一段と向上させながら、耐摩耗性、静粛性、高速性能、低転がり抵抗など、きわめて高い性能バランスを実現していることが大きなアピールポイントになっている。

日本ミシュラン公式サイト

ページのトップに戻る