グッドイヤーは、第89回ジュネーブモーターショーで、最新のコンセプト・タイヤ「AERO(アエロ)」を発表した。この「AERO」は、未来の空飛ぶドローン自動車用に設計されたコンセプトタイヤだ。
都市交通や渋滞による課題に直面しているモビリティ企業が、将来的には飛翔するモビリティも構想している。グッドイヤーはこうした現状と、従来からの高次元なタイヤ構造と素材研究により、従来の路上走行のためのタイヤ機能と空中での推進システム機能の両方を併せ持った未来のタイヤ/ホイールをイメージして、このコンセプト・タイヤを生み出した。
「ツーインワンタイヤ」が「AERO」のコンセプトで、地上を走行するためのタイヤとしても、空を飛ぶためのプロペラとしても機能する。つまり道路での走行だけでなく水平方向に90度回転させることでローター・プロペラとしても機能するマルチモーダル・デザインを採用している。路面への駆動力の伝達や路面からの衝撃の吸収を行ない、タイヤが90度回転することにより、車両を浮揚させる揚力を与える動力伝達装置としての役割を果たすように設計されている。
「AERO」のスポークは車両の重量を支え、タイヤが傾き、車両を持ち上げるための揚力を与えるファンブレードとしての機能を持っており、タイヤそのものはエアレス構造だ。このエアレスタイヤは路上走行時の衝撃を和らげるのに十分な柔軟性と、車両に揚力を与えるためのローターの高速回転を支える強度を合わせ持っている。
「AERO」は、摩擦のない駆動力、空中の推進力を実現するために磁力を使用する。これにより、車両が路上走行するために必要な高い回転速度を生み出すことができ、またホイールが回転することで車両を空中に持ち上げ、前方に推進する力を生み出す。
またこのタイヤは光ファイバーセンサーを装備し、路面状況、タイヤの磨耗、タイヤの構造的な信頼性をモニターするオプティカル・センシング機能を持っている。タイヤのセンサーから受け取る情報と、車車間、車両とインフラ間で伝達される情報を組み合わせるAIプロセッサーにより、車両が飛行したり路上運転モードに切り替わることを可能にするシステムが想定されている。
「AERO」はまだ概念上のデザインにすぎないが、非空気式タイヤ構造やインテリジェントタイヤ機能などの技術のいくつかはすでにグッドイヤーによって開発されており、その他の技術も近い将来には製品として成立する段階を迎えるはずである。