2015年10月29日、グッドイヤーは東京モーターショーで、2種類のコンセプト・タイヤ、発電するタイヤ「BH-03」、自在に変形するモーフィング・タイヤ「トリプルチューブ」を発表、展示した。
発電タイヤ「BH-03」は、発電素材、熱電素材を採用した自己発電するランフラットタイヤだ。静止時には太陽光を吸収して発電し、走行中はタイヤのたわみと発熱を電気に変換する。
熱電素材は静止時に太陽光の熱と光を吸収し、走行中は発熱により発電する。一方の圧電材はタイヤにかかる圧力やゆがみの力により発電する。これら2種類の素材はタイヤの内部構造が立体的に織り重ねられている。
この構造はランフラット技術の代替となり、パンク時にクルマの荷重を支えることができる。またその高い真円性によりハイドロプレーニングを軽減し、特徴的なトレッドパターンにより騒音の吸収効果もあるとされる。
こうした発電機能により、ハイブリッド車や電気自動車に最適なタイヤと位置付けられている。
自在に変形するタイヤ、つまりモーフィング・タイヤの「トリプルチューブ」とは、タイヤ自体が路面に合わせて変形するという新発想が採用されている。このタイヤは3本のエアチャンバー(チューブ)を持ち、それぞれのチューブ内の空気圧を内蔵されたポンプで自動調整することでタイヤを変形させる。
基本的に3モードを持ち、エコ・セーフティ・ポジションは3つのエアチャンバーの圧力を均一にすることで最適な剛性を保ち、転がり抵抗を低減。同時に路面との接地を広く取ることによりドライ・ブレーキング性能を向上させている。
スポーティ・ポジションはカーブに合わせて、アクティブコニカル(円錐)形状に変形し、路面とタイヤのトレッド面の接地面が最適化されドライハンドリング性能が向上。
ウエット・セーフティ・ポジションはトレッド・センター部のエア・チャンバーがせり上がり、狭幅・大径形状になることで、ハイドロプレーニングを防止する。
また、このタイヤは仮にひとつのチャンバーがパンクしても他のチャンバーで走行を補うことができるという機能も持つ。
コンパウンドは、米のもみ殻灰から精製されるシリカを採用しており、地球環境に配慮したサステナビリティを実現している。再生可能なシリカは他のタイヤにも採用されている技術である。
なお、今回発表された2種類のコンセプトタイヤはグッドイヤー社のルクセンブルグ・イノベーションセンターで研究・開発されている。