富士通テンは、2012年10月18日、前方、左右に加え、上下方向を3次元でスキャンし物体を検出できる「車載用小型77GHz 3次元電子スキャンミリ波レーダー」を開発したと発表した。この新開発製品は「第19回ITS世界会議ウィーン2012」(2012年10月22日〜26日)で論文発表と展示を行っている。この新型レーダーはさらなる改良を加え2014年から自動車メーカ各社への納入を目指しているという。
富士通テンは、1997年に世界で初めて60GHz帯のミリ波レーダーをダンプトラック用として実用化した。乗用車向けには2003年以降、前方用、後方用、前側方用の各種77GHz帯ミリ波レーダーを開発し、多くの自動車メーカーに納入している。
今回開発した製品は前方検知用で、従来の前方と左右に上下方向を加えた3次元をセンシングするのが大きな特徴だ。この結果、上方にある標識や道路の落下物などをより確実に検知できるので、道路上の障害物をより確実により離れた位置から識別できるようになる。また上り坂にある陸橋、高架橋などを、前走車と誤認識するような従来の2次元レーダーの欠点を克服することができる。
高度な信号処理技術、電波を送受信するアンテナ設計の工夫により、最新の2次元電子スキャン・ミリ波レーダーと同等の、手のひらに乗る程度の大きさを実現。大型車両から小型車両まで幅広い車両への取り付けができるという。
なお、自動車の衝突時の被害を軽減するための「プリクラッシュセーフティ機能」の乗用車への搭載は一段と本格化してきている。日本国内では、2014年11月以降に生産される新型大型トラックには、車両の総重量に応じて順次自動的にブレーキをかけて被害を軽減する装置の導入が義務付けられ、一方欧州連合(EU)では2013年秋以降に新車販売される大型車への同装置の導入が義務付けられるなど、今後ますます車載レーダーの重要性が高まっている。