【フォルシア】三菱化学と自動車インテリア用バイオ樹脂の共同開発契約を締結 植物由来のプラスチック内装を実現

フランスのフォルシア社は2012年11月6日、三菱化学と自動車インテリア部品向けに生産するバイオプラスチックの共同開発の独占的産業パートナーシップ契約を締結したことを発表した。

フォルシアは100%天然素材からのバイオプラスチックの生産について、2006年から「BioMat」プロジェクトという名称をつけ先行研究・調査を行ってきた。自動車の軽量化や環境面での制約、素材のリサイクル性の向上など、天然資源に由来する新素材プラスチックへの需要がますます高まっている。すでに欧州では2015年までに素材の85%がリサイクルできることが目標となっているのだ。

今後求められる新素材は、石油資源から作られるプラスチックに代わる存在だ。もちろん今後使用される素材が、抽出から使用後の処理までの製品ライフサイクルでも環境負荷を低めることも目標とされている。

フォルシアでは今後、この共同開発により、様々なバイオプラスチックを開発していく予定で、これらのバイオプラスチックは2015?2020年に急速な需要増大が見込まれている。

今回の共同プロジェクトの目的は、自動車インテリア部品の大量生産に向けた新ポリマーの開発を行うことだ。共同開発は、三菱化学が特許を有しているバイオマス由来のPBS(ポリブチレンサクシネート)の改良からスタートし、最終的には100%バイオ資源からの生産を目指す。

この契約により、フォルシアは共同開発したポリマーを、独占的に自動車用部品に使用する権利が認めらる。

なお、このプロジェクトは、バイオベースのコハク酸生産技術において、スペシャリストのバイオアンバー社との数年にわたる共同開発が基盤となっている。

三菱化学が推進するサステイナブルリソース事業による自動車用インテリア材料の開発

 

三菱化学は、石油化学製品の製造で培った高度なプロセス技術と、多様な高機能樹脂の応用技術を用いて、バイオプラスチックの一種であるPBS(三菱化学登録商標名「GS PlaR」)の製造・マーケティングを行っている。また、PBSの原料であるコハク酸を植物原料化したPBSの開発も行っており、多数の有力な特許を用いて、植物原料由来PBS分野における極めて強力なポジションの構築を進行中だ。

そのため、PTT社(タイ・バンコク」)と折半出資子会社のPTT MCCバイオケム社(タイ・バンコク)を設立しており、2015年を目標に、タイに年産2万トンのPBSプラントを建設する予定になっている。

植物原料由来のコハク酸については、そのパイオニアであるバイオアンバー社(カナダ・モントリオール)と提携し、高効率な製造プロセスの確立を目指しており、2015年にタイで稼働する年産2万トンのPBSプラントでも、原料としてこのコハク酸を使用する計画だ。

バイオアンバー社の琥珀酸の組成

フォルシアのインテリア・システム部門エンジニアリング担当副社長、ニコラ・ペシュニックは「三菱化学と戦略的パートナーシップ契約を結んだことで、当社は100%バイオベースのプラスチック部品の大量生産が実現でき、初の自動車用部品サプライヤーとなります。従来の石油由来のプラスチック部品に代わる有望な技術として、当社はこの技術の将来性を高く評価しています。この技術は当社の戦略的イニシアチブ、“バイオ・アティチュード”(バイオ指向の取組み)を推進する原動力の一つとなっています」と語っている。

また三菱化学株式会社のサステイナブルリソース事業推進室長、半田繁氏は「サステナビリティに対するフォルシア社の取組みは、正に当社の“KAITEKI” のコンセプトと軌を一にするものであると確信しています。バイオテクノロジー、ポリマー開発、特許取得実績など、当社の強みとなっている部分は、フォルシア社とのパートナーシップにおいても、その価値を発揮するでしょう」と語る。

今回の契約によって、自動車用インテリア・システムにおいて世界第一位のフォルシア、化学企業の世界最大手の一社である三菱化学、植物原料由来のコハク酸のパイオニアであるバイオアンバー社といった、市場リーダーである三社が、それぞれの分野における強みを生かし、バイオ樹脂インテリアの実現を目指すことになる。

フォルシア公式サイト
三菱化学公式サイト
PTT公式サイト
バイオアンバー社公式サイト

COTY
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