フォルシア クラリオンを買収

フランスに本拠を置くグローバル規模の自動車部品サプライヤー、フォルシアは日立オートモーティブの傘下にあったクラリオンの買収計画を2018年10月26日に発表した。そして2019年3月28日にクラリオンは、フォルシアの100%子会社となった。そして4月1日にフォルシアの第4の事業部として「フォルシア・クラリオン・エレクトロニクス」がキックオフした。

フォルシアのパトリック・コラーCEO(左)と、上級副社長に就任しFCEの責任者となった川端敦氏
フォルシアのパトリック・コラーCEO(左)と、上級副社長に就任しFCEの責任者となった川端敦氏

フォルシアは、元々はプジョー・グループの部品部門と自動車用シートサプライヤーが合併し、新企業として1997年に発足。その後は自動車インテリア部品メーカーや排気ガス浄化システムのメーカーと合併し、メガサプライヤーへと成長している。

現在のフォルシアのビジネス展開
現在のフォルシアのビジネス展開

2018年度の売上は175億ユーロ(2兆2000億円)に達し、グローバルで従業員数は11万5000人、300以上の拠点を37カ国に展開し、研究開発センターは46ヶ所、取引先はフォルクスワーゲン、フォード、PSA、ルノー・日産・三菱、GM,ダイムラーなど主要な自動車メーカーで、グローバル規模のサプライヤーとしてトップ10内に位置している。

現在のフォルシアは、自動車用シート・フレームでは世界ナンバーワン、自動車用シートでは世界第3位、インテリア/内装では世界1、2位を争っており、排ガス浄化システムでは世界1位という規模だ。

フォルシアは、シート部門、インテリア部門、排ガスシステム部門という3事業部を持っているが、フォルシアも「CASE」時代を迎える中での成長戦略が求められている。

ーーフォルシアのパトリック・コラーCEO
「ゼロ・エミッションと、大幅な排出ガスの改善を目指すサスティナブル・モビリティ分野で2030年には10億ユーロの市場規模となり、常時接続、ADAS時代の近未来コクピットの市場規模は810億ユーロの規模となると見込んでいます。そのため、エコシステムや新たなイノベーションに対して、これまでとは異なる枠組みのパートナーシップを築くことはもちろん、さらなる投資も必要となります」と語っている。

CASE時代に対応したフォルシアの新たな戦略
CASE時代に対応したフォルシアの新たな戦略

その結果、フォルシアは多くの企業との提携、スタートアップ企業への投資、次世代戦略に必要な技術を持つ企業の買収を実施している。提携では、ZF,マーレ、ヘラー、ミシュランなど自動車関連サプライヤーとの協業、さらにはアクセンチュア、マイクロソフトなどIT企業とも提携。そして、現在のフォルシアで求められる技術を持つ企業として今回、クラリオン、パロット・オートモーティブ(フランス)、コエージェント・エレクトロニクス(中国)などを買収し、従来からのシート事業、インテリア事業、排ガスシステム事業の3事業に加え、第4の事業として立ち上げようとしているのだ。

クラリオンに合流するパロットとコエージェント社
クラリオンに合流するパロットとコエージェント社

この第4の事業は今後のCASE時代に求められる技術開発や革新的な製品の生産を目指し、その中心となるのがクラリオンとされ、そのためこの事業部門は「フォルシア・クラリオン・エレクトロニクス(FCE)」というサブ・ネームが付けられている。そしてこの事業部はクラリオンだけでなく、アンドロイド・オートやインフォテイメント・メディアなどに強みを持つパロット、中国でインフォテイメントの分野で高いシェアを持つコエージェントが合流して、グローバル市場をカバーする大きなビジネス・ユニットを構築することになる。

フォルシアが重視するクラリオンの技術
フォルシアが重視するクラリオンの技術

この新事業部は1650名の技術者を含む9000名の従業員を擁し、現在の14億ユーロ(約1750億円)から、2022年までに20億ユーロ(約2500億円)の売り上げを見込んでいる。この部門を統括するのはクラリオンの川端敦取締役で、新たにFCE上級副社長に就任し、フォルシアのエグゼクティブ・コミッティ(取締役経営会議)の一員となっている。

フォルシアは、この第4の事業部門で近未来コクピットやADASのソリューション事業の展開を追求している。具体的には、車載インフォテイメント、直感的なインターフェース、先進オーディオ・システムの開発、コネクテッド技術やクラウドサービス、ADAS関連技術の開発と製品化だ。

次世代コクピットは、ADAS時代にふさわしいインフォテイメントや、ディスプレイ、オーディオ、さらにインテリアの電子機器を統合制御できるコクピット・ドメイン・コントロールユニットの実現を目指す。またADASに関しては、クラリオンはすでに日産のプロパイロット・パーキングの技術を実現しており、今後は360度映像技術をベースにしたオート・パーキング、オート・バレーパーキングなど低速度域でのレベル4、レベル5の自動運転&駐車技術を磨き、市場投入する戦略だ。

この新たなビジネス展開の枠組みにより、フォルシア/クラリオンはグローバル市場でのプレゼンスを高め、収益の拡大を目指している。

フォルシア クラリオンを買収
フォルシア クラリオンを買収

パトリック・コラーCEOは、「今回の新事業部の設立は、フォルシアの戦略的変革の重要なマイルストーンです。私はフォルシア・クラリオン・エレクトロニクスがコックピット・エレクトロニクスと低速ADASの領域で、短期間のうちにグローバプレーヤーとなることを確信しています。フォルシアとクラリオンの技術の結集により、ユーザーに今までにないコックピット・オブ・ザ・フューチャー体験を提供することが可能になることでしょう。川端敦氏をエグゼクティブ・コミッティーへ、そしてクラリオン全従業員をフォルシアのコミュニティに加わることを心より歓迎します」と語っている。

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